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「投資」と名が付く以上、不動産投資にも当然にリスクがあります。しかし、リスクを恐れて一歩踏み出せないままでは、今ある資産を守ることはできません。大切なのは、どのようなリスクがあるかを知ることであり、それらのリスクに対してどのように立ち向かっていくかを考えることです。

不動産投資の5つのリスク

相場の乱高下が激しい株式投資などと比べれば、不動産投資はローリスクであるといえます。しかし、ノーリスクではありません。不動産投資にもリスクはあり、その代表的なものが以下の5点です。

「空室」リスク

アパート・マンションの賃貸借契約期間は2年間が一般的です。3年目以降、そしてその先も末永く契約更新してくれればよいのですが、大学生の場合は4年(更新1回)で退去、ビジネスパーソンも3~5年(更新1~2回)で転勤を理由に退去してしまうことが多いようです。入居者にとって新たな門出であるものの、オーナーにとっては死活問題です。

「家賃下落」リスク

入居希望者の多くは新築、もしくは築10年未満の賃貸住宅を望みます。そのため築10年を経過した物件は入居候補から外されがちです。築年が古い物件は家賃を下げて勝負するしかありませんが、それでは収入が激減するほか、不動産ローンの支払いも辛くなります。

「修繕費」リスク

建物や住宅設備の経年劣化は避けられません。とくにキッチンやバスルームなど水回り設備の劣化は深刻、かつその修繕費も高額です。入居者からの不具合クレームも水回り設備に集中しており、しかも予期せぬタイミングで頻発するため、それまで順調だった賃貸経営が赤字に転じてしまう危険性もあります。

「入居者トラブル」リスク

ゴミの分別をしない、真夜中に騒音を立てる、家賃滞納を繰り返すなど、賃貸ルールを守らない入居者も中にはいます。このような入居者トラブルへの対応は原則としてオーナーが行うものですが、企業に勤める「サラリーマン大家」がそんなことに翻弄されていたら本業がおろそかになってしまいます。

「災害」リスク

昨今、南海トラフ地震や首都直下型地震に備えるよう頻繁に注意喚起が行われています。その上、大型台風やゲリラ豪雨といった異常気象を起因とする浸水・土砂災害も続発しています。これら自然災害による建物被害を未然に防ぐことは難しく、もし賃貸住宅がこれらの災害に襲われた場合、オーナーは入居者の生活を守る責任を負うことになります。

5つのトラブル、それぞれのリスクヘッジ

一棟アパート経営で空室リスクを回避

新築当時は引く手あまただった人気物件も、一度誰かが住んでしまえば中古物件となり人気が下がります。一戸の投資用区分マンションが空室になれば家賃収入はゼロになってしまいます。しかし複数戸を有する一棟アパートであれば、一戸が空室になっても他の住戸が埋まっていれば収入はゼロになりません。空室リスクは一棟アパートへの投資を実践することで回避できます。

個性派向け物件で家賃下落リスクを回避

中古物件は「家賃の安さ」で勝負するしかない…と思いきや、築10年を経過しても新築時の家賃を維持している賃貸住宅があります。それは、ペット向けの共用設備が充実していたり、楽器演奏ができる防音室が付いていたり、車やバイクが置けるガレージが付いていたりなど、個性派に向けた差別化が明確な一棟アパートです。これらは新築物件が競合する賃貸市場下にあっても高い家賃を維持し続けています。

定期修繕計画を立てて修繕費リスクを回避

一般的に共同住宅の大規模修繕工事は10~15年のサイクルで行われます。室内の水回り設備やエアコンなどの家電製品も、おおむね10年単位で新製品に入れ替えることが理想的です。いつ壊れるか分からない古い設備を使い続けていると、予期せぬ高額出費で大幅赤字になる可能性も否めません。複数戸の修繕工事をまとめて依頼すれば、工賃の割引も受けられる場合もあります。定期的な修繕計画を立てておくことは修繕費の節約にもつながるのです。

入居者トラブルは専門家に任せて回避

ゴミの捨て方や騒音、家賃滞納など、オーナーがその当事者である入居者に直訴したら角が立ちますし、場合によってはより状況が悪化する可能性もあるでしょう。オーナーを悩ませるさまざまな入居者トラブルは、不動産管理の専門会社に業務委託することで解決できます。不動産管理会社は、ゴミ置場の清掃や正しい分別方法について告知を行い、建物巡回時に騒音などの迷惑行為が確認できれば注意を促し、毎月の家賃集金と併せて滞納者への督促・回収も代行してくれます。

災害リスクは火災・地震保険で回避

天災(自然災害による不可抗力)によって建物が損壊した場合、建物の修繕費用はオーナー負担になりますが、自然災害を含む建物・家財等の災害被害の多くは火災・地震保険でカバーすることができます。不動産投資において火災・地震保険への加入は必須です。また入居者には借家人賠償保険に加入するよう促すことも必要です。

不動産投資のリスクヘッジの最重要ポイント

以上、不動産投資において避けられない5つのリスクとその対処法について解説しました。しかしこれらはあくまで一般論ですので、物件の属性によって若干のアレンジが必要です。対処法に迷ったら、賃貸経営にたけた不動産会社のアドバイスに耳を傾けてみるという手もあります。不動産会社にもそれぞれ専門分野があるので、取り組みたい分野に強い会社を選ぶことが成功への近道です。