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不動産投資の手法のひとつとして数えられる「アパート投資」。ビギナーにはハードルが高いと思われがちですが、実は区分投資よりデフォルトリスクが低く、継続して安定収入が得られる手法なのです。とはいえ初期投資額は数千万円と高額になります。安易な気持ちで始める前に、そのメリットとリスクをしっかり抑えておくことが重要です。

「アパート投資」とは、どのような投資手法か?

「アパート投資」とは、家賃収入で収益を上げる不動産投資手法のひとつです。マンション1戸の区分建物と違い、複数戸からなる大型建物への投資となるため嫌煙されがちですが、総戸数10戸未満のコンパクト・アパートであれば不動産投資初心者でも取り組みやすいでしょう。

この“複数戸からなる”という点がアパート投資最大の魅力です。1戸きりの区分投資の場合、その部屋が空室になったら家賃収入がゼロになります。しかし、アパート投資の場合は1戸が空室になっても他の部屋が入居中であれば家賃収入は減るもののゼロにはなりません。そのため、アパート投資は区分投資より空室リスクが低いといえます。

アパート投資の初期費用…始めるにはいくらかかる?

大型建物となると初期投資額が気になるところです。そこで、延べ床面積50坪(総戸数4~6戸)程度のアパート建築費を調べてみました。

 

・木造・鉄骨造:4000万円~5000万円(坪単価80~100万円)

・鉄骨造:4500万円~6000万円(坪単価90~120万円)

 

これに土地代が加わります。延べ床面積50坪程度のアパートを建てるなら、土地面積は20坪以上必要です。地域によって土地価格はまちまちなので、ここでは仮に土地総額2000万円(坪単価100万円)とすると、アパート投資の初期投資額は6000万円~8000万円程度ということになります。

「アパート投資」と「区分投資」との違いは?

アパート投資と区分投資の違いは3つあります。

1つは「所有戸数」です。前述の通り、区分投資における空室は“収入ゼロ”です。収入が途絶えればローン返済などの資金繰りが苦しくなり、これまでストックしていた資産を切り崩すような事態にも陥ります。そのような区分投資と比較すれば、所有戸数が多いアパート投資の方がデフォルトの危険性が低いといえます。

2つめは「リフォーム」です。アパートのリフォーム工事はオーナーの独断でできますが、区分建物は共有者の承諾が必要になります。マンションなどで管理組合が介在する場合は、管理規約に則ったリフォーム仕様を強いられることになります。

3つ目は「売却時」です。区分建物は類似(同じマンション内、または築年数や間取りが似ている近隣マンションなど)競合物件が多数あり、価格競争になれば値下げして販売せざるを得なくなります。一方、アパートの場合は比較対象となる類似競合物件が少ないため、売主希望価格で成約となる可能性が高くなります。

アパート投資…「新築」するか、「中古」を選ぶか

アパート投資を考える場合、すでに所有している土地を有効活用したいなら「新築」を選ぶことになるでしょう。土地を所有していない場合は、賃貸需要が高いエリアで「新築」か「中古」のいずれかを選べます。全戸満室で利回りの高い中古アパートを見つけて購入するのも手堅いやり方ですが、前所有者の管理が行き届いていないと後々莫大な修繕費がかかってしまうこともあります。長い目で見れば、オーナーの経営方針に相応しく、かつエリアニーズにも合致したアパートを新築した方が賢明かもしれません。

アパート投資の「リスク」と「対処法」

アパート投資を始めるにあたり注意したいのは、「空室」「家賃下落」「修繕」「入居者トラブル」の4つのリスクです。これらを回避するにはどのような手段があるか考えてみましょう。

空室リスクを下げる“快適空間”づくり

全戸満室の中古アパートを購入しても、物件管理を怠れば退去者が続々出てしまう可能性があります。共用設備の充実、とくにセキュリティ設備やネット環境は昨今の賃貸住宅になくてはならないものです。室内インテリアも10年経てば古さを感じてしまいます。退去があればそれをチャンスと捉え、設備全般を一新する原状回復に専念しましょう。

家賃下落リスクは“差別化”で対処

一般的に賃貸住宅の家賃は築10年を節目に下落していくものですが、築古でも高い家賃を維持しているアパートはあります。それは「ペット向けの共用施設がある」とか、「楽器が弾ける」、「車やバイクが置ける大型ガレージがある」など特殊性の高い物件です。オーナーの嗜好やアイディアで差別化をはかることも大切です。

修繕リスクは“長期修繕計画”で回避

建物の経年劣化は避けては通れません。加えて、居住用賃貸はキッチンやバスルーム、トイレといった水回りの修理・入替に結構お金がかかります。これらの費用はいつか必ず支出しなければならないものと心得て、修繕費用のストックをしておきましょう。また、突発的な故障のたびに個別対応するのでは工事費が割高になりがちです。長期修繕計画を立てて全戸一斉に入替すればコストダウンが図れます。

入居者トラブルリスクは“専門家”に相談

ゴミの放置や騒音、家賃滞納など、最低限のルールが守れない入居者に翻弄されることもあります。これらのトラブルには原則オーナーが対応すべきものですが、会社勤めのオーナーであればこれらに対処することは困難です。入居者トラブルどころか、物件管理もままならないほど忙しいかもしれません。そんな場合は、不動産管理の専門会社に相談することをお勧めします。料金はかかりますが、家賃集金や建物の清掃、入居者トラブルへの対応も一切任せられるので、オーナーは安心して本業に打ち込むことができます。