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新NISAの枠を最速で埋め、iDeCoも満額。「金融資産は順調」と安心している高所得者層は多いでしょう。しかし、そのポートフォリオは、本当に盤石でしょうか。「現金と株・投信」だけに偏る資産構成は、近年の急激なインフレや円安、そしていつか来る市場暴落に対し、実は非常に脆弱です。とくに高所得者は「守るべき資産の桁」が大きいため、このリスクは一般家庭以上に深刻です。金融資産の「成功体験」が招く落とし穴と、資産防衛に「実物資産」を加える重要性を解説します。
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「金融資産1億円」でも安心できない? 高所得者が見落とす3つの時限爆弾
金融資産1億円達成は大きな節目であり、ひとまず安心と考えがちです。しかし、年収3,000万円クラスの高所得者にとって、これはゴールではなくスタートラインに過ぎません。現在の経済環境下では、資産の額面が増えても実質的な購買力が失われる「3つの時限爆弾」を抱えているからです。
時限爆弾①:止まらないインフレ
物価が2〜3%上昇するだけで、現金の実質価値は毎年確実に目減りします。仮に1億円を銀行口座に置いたままなら、わずか1年で実質300万円分も価値が失われる計算です。特に高所得層が購入するようなサービスや高付加価値商品は、一般の物価上昇率(CPI)を超えて価格が上昇する傾向があります。
時限爆弾②:円安トレンド
多くの高所得者はグローバル分散投資を行っていますが、「海外資産が増加し含み益が出ていても、円ベースの購買力は低下している」というパラドックスに直面しています。資産がドル建てで増加しても、日本国内での生活費や教育費に換算すると「思ったほど余裕がない」という事態に陥りかねません。
時限爆弾③:金融資産の「同時暴落」リスク
従来の常識では「株が下がれば債券が上がる」とされていました。しかし、中央銀行の金融引き締めによる金利上昇局面では、「株も債券も同時に下がる」現象が起こりやすくなっています。1億円という数字に安心せず、「実質価値」を守る防衛策が不可欠です。
なぜ気づかない? 「積立投資の成功体験」が視野を狭める
高所得者がインフレによる資産の目減りに気づきにくい最大の原因は、過去十数年の積立投資における成功体験にあります。特に日本のデフレ環境下と、コロナ後の世界的な株価上昇期に積立を始めた人々は、米国株を中心に市場が好調だったため、努力や知識以上に、市場の追い風を受けて資産を増やしてきました。
「ほったらかし」で増えたため、リスクへの感度が鈍化
積立投資は「ほったらかしでも資産が増える」という成功体験を多くの人に与えてきました。特に株式市場が右肩上がりだった時期に投資を始めた人ほど、長期保有の恩恵を強く感じています。これにより「自分は正しい方法を選べている」という強い確信が生まれ、リスクへの感度が大きく鈍っているのです。インフレや金利上昇、為替の急変動が起きても「これまでも増えてきたから大丈夫」と過信しがちです。
「NISA枠を使い切る」ことが目的化し、資産全体のバランスを見ていない
本来は“資産全体でどの程度のリスクを取っているか”を管理すべきですが、「NISA枠を使い切ること」自体が目的化し、枠を埋めることを優先するあまり、株式比率が過度に高まっているケースも見受けられます。
NISAはあくまで「非課税の入れ物」にすぎず、資産配分そのものを最適化してくれるわけではありません。積立投資の成功体験は「安心感」を与える一方で、環境変化への警戒心を奪い、資産防衛の視野を狭める要因にもなるのです。今こそ、資産全体を俯瞰し、ポートフォリオを見直す必要があります。
解決策: なぜ「実物資産」がポートフォリオの”錨(いかり)”となるのか
高所得者がインフレや市場変動による金融資産の目減りから逃れ、ポートフォリオの安定性を確保するために必要なのが、不動産などの「実物資産」です。株式や債券といった金融資産を船に積まれた「荷物」に例えるなら、実物資産は、金融市場の荒波の中で船を安定させる「錨(いかり)」のような役割を果たします。
インフレに強い家賃収入
不動産から得られる家賃収入には、インフレに強いという特徴があります。物価が上昇すれば生活費も増えますが、家賃も同様にスライドして上昇する傾向があるため、購買力を維持しやすいのです。 現金や預金ではインフレに押し負けますが、家賃収入は「物価連動型キャッシュフロー」として資産防衛の柱になります。高所得者が抱える金融資産の弱点を補うには、非常に相性の良い仕組みです。
金融市場の動きと異なる値動き
実物資産の価格は、金利政策や金融市場の動きと必ずしも連動しません。インフレ下で株と債券が同時に下落する局面であっても、賃貸需要は需給や地域特性に左右されるため景気の急変に連動しにくく、家賃収入は比較的安定して続きます。これにより、ポートフォリオに組み込むことで、単に資産を増やすだけでなく、インフレ時代における「守りの基盤」として機能するのです。
高所得者こそ「新築アパート投資」で資産の”守り”を固めるべき
高所得者の資産戦略において重要なのは、「攻め」と「守り」のバランスです。株式・投資信託などの金融資産は高い成長力を期待できる“攻め”の資産ですが、いくら積み上げても安心とは限りません。一方、新築アパートをはじめとする実物資産は“守り”の役割を担います。なかでも新築アパート投資は、安定収入と長期的な資産価値を両立できる選択肢となり得ます。
他人資本(ローン)で資産を築ける「レバレッジ」効果
不動産投資の最大の強みは、他人資本(ローン)を活用して自己資金以上の規模で資産を築ける「レバレッジ」効果です。もちろん、相応のリスクを検討しても事業性の高い物件であることが大前提ですが、そのうえで、高属性のビジネスパーソンには「金融機関から低金利かつ長期の融資を受けやすい」という大きな優位性があります。
インフレが進んでもローンの返済額は変わりません。家賃が上昇しても返済額が変わらなければ手元に残るお金が増えるため、借り入れを伴う不動産は、インフレヘッジとして非常に有効な手段となります(※ただし、変動金利などの金利上昇リスクには注意が必要です)。
攻め(金融資産)と守り(実物資産)のハイブリッド戦略が、資産防衛の鍵となる
金融資産(株、投信)は高いリターンを目指す「攻め」の役割を果たし、新築アパート投資は、安定した家賃収入とインフレ耐性を持つ「守り」の役割を担います。相場変動時には実物資産の家賃収入がクッションとなり、好景気には金融資産が成長するのです。
この「攻め」と「守り」のハイブリッド戦略を採用することこそが、将来の不確実性に対して強い資産基盤を築き、資産防衛を成功させる鍵となるでしょう。
<執筆者>
藤原洋子
FP dream/代表FP
大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。