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人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏においても、その波は例外ではありません。そのようななか、今後、単身者や若年層カップルをターゲットとした不動産投資エリアとしてどこが有望なのでしょうか。投資検討において不可欠な要素である「若年層の人口動態」や「職住のバランス」に注目をして考察していきます。今回注目するのは、東京都東村山市に位置する西武新宿線「久米川」駅です。

 

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東京都心部へ30分!軽快なアクセスと武蔵野の自然が融合する街

東京都の多摩北部に位置する「久米川」駅は、西武新宿線が乗り入れる、都心で働く単身者や共働きカップルにとって「穴場」ともいえる高い利便性を誇るエリアです。 西武鉄道によると、2023年度の1日平均乗降人員は約3万人。急行停車駅であり、JR山手線への乗り換えが可能な「高田馬場」駅まで急行利用で約28分、始発・終点である「西武新宿」駅まで約32分と、都心オフィス街へダイレクトかつスピーディーにアクセスできます。朝の通勤時はもちろん、終電も遅くまであるため、都心での残業や会食の後でも帰宅しやすい点は、現役世代にとって大きなメリットです。さらに、徒歩圏内(約10分)には西武多摩湖線と拝島線が乗り入れる「萩山」駅もあり、国分寺方面や西武遊園地方面へのアクセスも可能。複数路線を使える機動力は、アクティブな若年層の支持を集める要因となっています。

「久米川」駅周辺の特筆すべき魅力は、その計画的に整備された「機能美」ともいえる街並みにあります。駅を中心に碁盤の目状に整備された道路網は、多摩地域でも珍しく、整然としていて見通しが良いのが特徴です。歩道がしっかりと確保されているため、駅からの帰宅動線もスムーズ。平坦な地形であるため、自転車利用も快適です。夜道も比較的明るく、女性の一人暮らしでも安心感の高い住環境といえるでしょう。

生活の利便性も、単身者やDINKs(共働き・子なし世帯)にとって申し分ない環境が整っています。駅南口には「西友」などのスーパーマーケットがあり、24時間営業や深夜営業を行っている店舗もあるため、仕事帰りの遅い時間でも買い物が可能です。 特筆すべきは飲食店の充実ぶりです。「モザイク通り」をはじめとする駅周辺の商店街には、チェーンのカフェやファストフードだけでなく、個人経営の居酒屋、定食屋、バルなど多彩な飲食店が軒を連ねています。「今日は自炊をしたくない」という日でも食事に困ることはなく、外食派のシングル層にとっては飽きのこない環境です。一方で、北口エリアは落ち着いた雰囲気で、静かな住環境を好む層に適しており、ドラッグストアやコンビニも至近に揃っているため、日常の「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する若年層のニーズを満たしています。

オンとオフを切り替える「リフレッシュ環境」も充実しています。駅から少し足を伸ばせば「都立東村山中央公園」の緑が広がり、休日の読書やピクニックに最適です。また、多摩湖へと続く「多摩湖自転車歩行者道」は、信号が少なくフラットな直線が続くため、ランニングやサイクリングのコースとして人気です。都心への通勤利便性を享受しながら、週末はスポーツや自然の中でリセットする。そんな「ウェルビーイング」なライフスタイルを求める若い世代にとって、この環境は大きな付加価値となります。

交通アクセスは鉄道に加え、バス便も強力な武器です。駅北口からはJR武蔵野線「新秋津」駅へ向かうバスが高頻度で発着しており、所要時間は10〜15分程度。ここから大宮方面や立川方面への移動も容易で、カップルそれぞれの勤務地が異なる場合でも、中間地点として選びやすい立地です。

東村山市の「都市計画マスタープラン」でも中心拠点の一つとして位置づけられている久米川エリア。都心直結の利便性を持ちながら、家賃相場は都心部と比較して抑えられており、経済合理性を重視する若年層からの賃貸需要は今後も底堅いと予想されます。レトロモダンな商店街の賑わいと、整然とした街区の美しさが共存する久米川は、初めての一人暮らしや同棲生活のスタート地点として、有力な選択肢であり続けるでしょう。

「久米川」駅周辺の不動産投資の可能性

では、「久米川」駅周辺のデータ面からの現況について見ていきましょう2020年に行われた国勢調査によると、「久米川」駅が位置する東村山市の人口は15万1,815人です。5年前の調査と比較すると1,859人増加、増加率1.24%と、成熟した住宅都市としての安定感を示しています。

注目すべきは「世帯数」の変化です。世帯数は6万8,478世帯となり、こちらは5年前と比較して約6%と大きく増加しています。1世帯あたりの人員は2.20人で、東京都平均(1.92人)よりはやや多いものの、縮小傾向にあります。これは、ファミリー層中心だったかつての構成から、単身者や夫婦のみの世帯(DINKs)が増加していることを明確に示しています。

人口構成を見ていくと、15歳未満の年少人口は1万7,720人、15歳以上65歳未満の生産年齢人口は90,285人、そして65歳以上の高齢者人口は40,749人。生産年齢人口が約6割を占めており、都心へ通勤する現役世代が街の主役であることがわかります(図表1)。

 

【図表1】東京都東村山市の人口ピラミッド 出典:総務省「国勢調査」

 

東村山市の昼夜を見ていくと、昼間人口10万6,643人に対し、夜間人口は13万4,095人。昼夜人口比率79.5%と100%を大きく下回っていることは、昼間は市外へ働きに出ている人が多い典型的な「ベッドタウン」であることを示しています。域外への流出先を見ていくと、最も多いのは「東京都新宿区」で、次いで「小平市」「所沢市」と続きます。西武新宿線を利用して新宿エリアへ通勤する層に加え、バスや自転車等で多摩周辺地域の拠点都市へ通う層も一定数存在します。この「都心にも、多摩の拠点にも通える」というアクセスの柔軟性が、職場の異なるカップルや、転職の可能性がある若手社会人にとって、勝手のいい居住地として選ばれる理由となっています。

次に、投資判断の要となる家賃相場について見ていきましょう。「久米川」駅周辺の家賃相場を大手住宅検索サイト3社の平均で見ると、単身者向けの1K・1Rが5.5万円〜6.5万円、カップル向けの1LDKが9.5万円〜11万円程度です。 厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』などのデータを参考にすると、20代の平均手取り月収に対し、都心部(新宿・中野エリア)で同条件の部屋を借りようとすると家賃負担が重くのしかかります。しかし、急行で30分圏内の久米川エリアであれば、家賃を適正範囲(月収の3分の1以下)に抑えることが可能。 浮いた固定費を趣味や貯蓄、週末のレジャーに回したいと考える「合理的な若年層」にとって、このコストパフォーマンスの良さは極めて魅力的であり、空室リスクを抑える強力な材料となります。

そんな「久米川」駅周辺の将来像を考えていきましょう。この先、東村山市全体の総人口は緩やかに減少していきます(図表2)。

 

【図表2】東村山市の人口増減
出所:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

 

しかし、ここで重要になるのがエリアごとの濃淡と、実際の人口分布。 2015年人口と2040年の人口推計を比較したメッシュ分析を見ていくと、「久米川」駅を挟み東エリアでは人口増を示す暖色系が西エリアでは人口減を示す寒色系が目立ちます(図表3)。一方で、人口分布をみていくと、人口の多い恋暖色系が「久米川」駅周辺で目立ちます(図表4)。

 

【図表3(上)】「久米川」駅周辺の将来人口増減メッシュ分析 
【図表4(下)】「久米川」駅周辺の将来人口分布
出所:国土交通省『250mメッシュ別将来人口データ』(R6国政局推計)

 

ここからみえてくるのは、「久米川」駅を中心としたエリアにおいて、人口増減の程度はエリアによって異なるものの、駅周辺の商業施設が集積するエリアは、人口が維持、あるいは単身・少人数世帯の流入により世帯密度が保たれるという予測。都市機能が集約された「コンパクトシティ化」が進むなかで、利便性の高い駅周辺エリアへの居住ニーズは、むしろ今後さらに高まっていくと考えられます。

不動産投資において、エリアの「持続可能性」は重要なキーワードです。西武新宿線「久米川」駅周辺は、都心直結のアクセスと、若年層のライフスタイルにマッチした商業・自然環境、そして若手社会人が無理なく住める家賃相場という、賃貸経営における「勝ちパターン」の条件が揃っています。 人口減少時代においても、単身者やカップル世帯の数は当面増加傾向にあります。ターゲットを明確に絞り、彼らのニーズ(安全性、ネット環境、デザイン性など)を満たす物件を提供することで、長期間にわたり安定した収益を生み出すことができる、堅実な投資エリアといえるでしょう。