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「保障も貯蓄もこれ一本で安心」という言葉を信じ、高額な貯蓄型保険に加入していませんか?一見、堅実な選択に見えるその保険は、実はインフレが進む現代において、資産を「増やす」どころか「蝕む」可能性を秘めています。本記事では、貯蓄型保険の構造的な問題を解き明かし、より効率的に資産を育てるための「攻めと守り」を両立する考え方を解説します。

 

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なぜエリート夫婦は「貯蓄型保険」を選んでしまったのか?

貯蓄型保険は、保険商品の分類方法の一つで、保障と貯蓄の機能を併せ持った生命保険の総称です。多くの貯蓄型保険には、死亡保障があり、被保険者が亡くなったり、生命保険会社所定の高度障害状態に該当したりしたときに保険金が支払われます。

さらに貯蓄型保険は、掛け捨て型保険と異なり、保険料の一部を積み立て、運用を行う仕組みとなっています。そのため、保険期間の途中で解約したり、満期を迎えたりしたときに、まとまったお金を受け取ることができます。

貯蓄型保険は、被保険者に万一のことがあった場合だけでなく、同時に貯蓄もできるという特徴が大きな魅力です。

代表的な貯蓄型保険には、「積立保険」「養老保険」「学資保険」「個人年金保険」「終身保険」「変額保険」「外貨建て保険」があります。生命保険を活用すると、銀行での預貯金とは異なり、生命保険料控除として一定額の所得控除を受けられるため、所得税・住民税の負担が軽減されます。

共働き世帯であるAさん夫婦は、3年前に長女、昨年次女が誕生しました。家族の将来設計のために生命保険の検討を行い、営業担当者からの保険商品の説明を聞き、解約時や満期時の返戻率110%といったシミュレーションも試算してみました。

Aさん夫婦は、家族のための安全で確実な資産形成、そして人間関係を重んじる考えから、数種類の貯蓄型保険に加入することに決めたのです。

ここで、貯蓄型保険の注意すべき点について考えてみましょう。「返戻率OO%」といった数字の響きは、あたかも確実な利益のように受け止められがちです。しかし、これはあくまでシミュレーション上の数字であり、実際にはインフレや金利上昇による影響は考慮されていません。

また、長期に資金を縛ることは、投資によるリターンの伸びしろを「手放す」とも考えられます。たとえば、その資金を分散投資に回していれば、複利効果により数百万円単位の差が生じる可能性もあります。つまり、「安全・確実」という言葉の反面には、柔軟性を失うリスクも潜んでいるといえるでしょう。

Aさん夫婦が選ぶべきは「商品」ではなく「戦略」です。大切なのは“保険で貯める”ではなく、“保険は守り、資産は攻める”という発想ではなかったでしょうか。

 

「貯蓄型保険」が資産形成に向かない3つの決定的理由

エリート層が選びがちな貯蓄型保険ですが、本格的な資産形成の手段としては注意点を抱えています。その決定的理由は以下の3点です。

理由1:インフレに負ける。お金の価値が下がり、実質的な元本割れも

貯蓄型保険は「返戻率○〇%」と数字が明示されるため、一見すると安心に見えます。しかしインフレが進めば、お金の実質的な価値は確実に目減りします。例えば、20年後に戻ってくる金額が掛金より多く名目上プラスでも、物価がそれ以上に上がれば、実質的な元本割れになる可能性が高いのです。

理由2:手数料が高い。「保障」と「運用」のコストが不透明

保険は「保障」と「運用」をセットにした複雑な商品であり、そのコスト構造が「保障」という名目で不透明になりがちです。貯蓄型保険は、販売員の手数料や事務コスト、死亡保障のコストといった保険会社の運営費用などが差し引かれるため、NISAなどで運用する株式や投資信託と比べると、結果として資産が増える効率を大きく低下させてしまいます。

理由3:流動性が低い。いざという時に現金化しにくいデメリット

貯蓄型保険は、一般的に、契約すると数十年単位での契約継続が前提となります。もし途中で解約して現金化(流動化)しようとすると、多くの場合、元本割れを起こします。つまり、「いざ急にお金が必要になった」という事態に対応しづらい点がデメリットです。このため、資産形成においては、保険と投資は分けて考え、いつでも現金化できる預貯金やNISAなどを組み合わせて活用すると、ライフプランに合った資産形成を進められるでしょう。

「保障」と「投資」は分けなさい!資産を最大化する基本戦略

多くの人が「保険で貯める」という発想を持ちがちですが、それは資産形成の効率を下げる典型的な例といえるでしょう。資産形成のスピードを最大限に高めたいなら、保障と貯蓄・投資はきっぱり分けることが原則です。

まず、「保障」は掛け捨てでミニマムに。死亡保障や医療保障は“万一の備え”であり、必要最低限の期間・金額だけ確保します。高い手数料の運用コストが組み込まれた貯蓄型保険を選ぶよりも、その分を投資に回す方が長期的なリターンを期待できます。保障は“守り”、投資は“攻め”。この明確な線引きが、資産形成の第一歩となるのです。

次に、投資戦略として重要なのは、資産を単一の商品に集中させず、バランスの取れたポートフォリオを構築することです。手元にあってすぐ使える「現金」、成長を狙う「インデックスファンドなどの金融資産」、そしてインフレヘッジにもなる「実物資産」をバランスよく持つことです。特にインフレヘッジとして効果的なのは、現物資産の中でもキャッシュフローを生む不動産です。実物資産は、不動産や金(ゴールド)などが代表的です。

保障をミニマムなコストに抑え、浮いた資金を流動性の高い投資に回し、複数の資産でリスクを分散する。これが、エリート夫婦が陥りがちな保険の罠から抜け出し、資産を効率的に増やしていくための黄金律です。

貯蓄型保険の代わりに「安定キャッシュフロー」を生む新築アパート経営という選択

高所得層の間で注目を集めているのが、貯蓄型保険の代替としての新築アパート経営です。従来の貯蓄型保険が「長期で資金を拘束し、リターンが低い」のに対し、不動産経営は安定したキャッシュフローを生み出しながら、相続・節税対策にも効果を発揮します。

まず、新築物件は修繕リスクが低く、長期的な「安定収入(家賃収入)」を見込めます。これは、不労所得として手元に現金が残る点で大きなメリットです。

次に、この経営には、保険にはないレバレッジ効果があります。金融機関からの融資(ローン)を活用することで、自己資金以上の大きな資産を動かすことができます。インフレによって物価とともに賃金が上昇すれば、ローンの返済額自体は変わらないので、実質的な負担が軽減されます。生命保険のように「万一の備え」としても、団体信用生命保険が残債をカバーするため、家族に資産を残す仕組みが自動的に成立します。

さらに、減価償却費という実際の支出がない経費を計上できるため、給与所得と相殺することで節税効果も期待できます。これは、保険の「節税」メリットとは異なり、明確な会計上の効果をもたらします。

老後の生活資金を考える上でも、単に「貯める」のではなく、毎月安定した「お金の流れ」を生み出すアパート経営は、保障を掛け捨てで済ませた後の第二の柱として、非常に有効な戦略となります。

もちろん、空室リスクや金利上昇リスクなどの注意点はありますが、適切な立地選定と管理でリスクを抑えれば、保険よりも高い自由度と収益性を得ることが期待できるのです。

 

<執筆者>

藤原洋子

FP dream/代表FP

大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。