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憧れのタワーマンションの高層階を手に入れ、誰もが羨む生活を送る富裕層。しかし、肝心な手元の資産は増えず、常に将来への不安を抱えている……日本においてバブル期に刷り込まれた「持ち家=資産」という価値観は、現代では非常に危険な誤解をはらんでいます。特にタワーマンションでは「値上がりするから資産なんだ」と思い込む人が多いのですが、本当にその持ち家は資産でしょうか。特に「居住用不動産」は資産になるどころか、深刻な家計キャッシュフローの悪化を招きかねません。成功している資産家が実践する「キャッシュフローを生む資産」とは何か。居住用不動産と投資用不動産の本質的な違いを解説します。

 

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年収3,000万円・外資系会社員のタワーマンション

Aさんは45歳、外資系金融機関の役員です。年収は3,000万円を超え、2年前に東京都内の湾岸エリアに1億8,000万円のタワーマンションをフルローンで購入しました。

「友人を招けば誰もが驚き、羨ましがります。眺望は世間がイメージするタワマン眺望そのもの。この2年間でも値上がりが顕著で、永遠に上がり続けるのではないかと錯覚するほど。タワーマンションは資産ですよね。でも一向に手元の貯蓄が増えない。むしろ、生活が少し苦しくなっている気がします。」とAさんがいいます。

Aさんの不安感は、世間がイメージする「富裕層の生活」とは程遠いものでした。Aさんが「資産」と信じて購入したタワマンが家計を圧迫する最大の原因だったのです。 当然のことながら、自分が居住する不動産は、それ自体で利益を生み出すものではありません。売却して初めて現金を生み出すもの。居住している間は住宅ローンに加えて、固定資産税や管理費、修繕積立金などの支出が延々と続くだけです。 もちろん、物件に自ら居住しながら、退職などの人生のタイミングで売却し老後資金を得るという意味では資産かもしれません。しかし、そこには大きな「罠」が3つあります。

① 資産価値は本当に上がるとは限らない。

居住用不動産は出口戦略が極めて難しいといえます。 「都心の一等地だから値下がりしない」と信じ込み、反対意見に対してムキになってしまう人はめずらしくありません。しかしそれは幻想かもしれません。新築時の価格にはデベロッパーの利益や広告宣伝費が大きく上乗せされています。中古になった瞬間、その価値は実勢価格へと調整されます。

もちろん、近年の不動産高騰で恩恵を受けた人もいますが、将来はどうでしょうか。多くのタワマンが20年後、30年後に一斉に「中古」として市場にあふれた時、本当に買い手はつくのでしょうか。ビンテージマンションとして高い資産価値を維持できる物件がどれほどあるでしょうか。大規模修繕を控えた高額な中古タワマンの出口戦略は、極めて困難になる可能性があります。

② 管理費・修繕積立金という名の「一生終わらないローン」

タワマンの魅力である豪華な共用施設(ジム、プール、コンシェルジュサービス)は、すべて高額な「管理費」によって維持されています。さらに深刻なのが「修繕積立金」です。

タワマンは構造が複雑で、特殊な足場や技術が必要なため、修繕費用は一般的なマンションの比ではありません。新築時に低く設定されていた積立金は、5年ごと、10年ごとに見直され、ほぼ確実に高騰していきます。 Aさんの場合、ローン返済とは別に、月々8万円もの維持費を払っていましたが、10年後にはこれが月額15万円になったとしたら、家計はどうなるでしょうか。これはローン完済後も続く「一生終わらないローン」に他なりません。

③ 低い節税効果

Aさんのような高年収層にとって、税金は最大の関心事の一つです。しかし、居住用不動産であるタワマンは、資産形成における節税メリットがほとんどありません。

確かに「住宅ローン控除」はありますが、これはあくまで「税額控除」であり、所得そのものを圧縮する効果はありません。高額な管理費や修繕積立金、固定資産税は、すべて「支出」として手元のキャッシュから出ていくだけで、所得税や住民税を減らすための「経費」にはなりません。

資産形成のプロは「金の卵を産むガチョウ」を持つ

では、資産形成のためにAさんはどうすれば良いのでしょうか。答えはシンプルです。「資産」と「負債」を正しく見極めることです。

 

「資産」と「負債」の決定的な違いとは何でしょうか。

資産とは、 あなたの財布にお金を入れてくれるもの

負債とは、 あなたの財布からお金を奪っていくもの

 

この定義に当てはめれば、Aさんのタワマンは毎月、ローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税という形で、Aさんの財布からお金を奪い続ける「負債」です。

一方、「資産」とは、それ自体が収益を生み出すものを指します。たとえれば「金の卵を産むガチョウ」です。株式の配当金(インカムゲイン)や、家賃収入を生む不動産がこれにあたります。

なぜ世界の富裕層は不動産投資を選ぶのか

世界の富裕層の多くが、ポートフォリオに「投資用不動産」を組み入れています。それは、不動産が安定した「インカムゲイン(家賃収入)」を生み出す、最強の「ガチョウ」だからです。

資産家は、他人(入居者)の資金(家賃)を使い、ローンを返済し、キャッシュフローを生み出し、さらに「減価償却」という会計上の仕組みを使って合法的に税金をコントロールします。Aさんが自宅のタワマンに投じた1億5,000万円を、もし「投資用不動産」に振り向けていれば、資産形成のスピードは全く違ったはずです。

「新築アパート」という選択肢

Aさんのような高年収の会社員が、今から「金の卵を産むガチョウ」を手に入れるとしたら、「新築アパート投資」が特に有効な選択肢です。木造の新築アパートには、他の投資対象にはない圧倒的な優位性があります。

「減価償却」による節税効果

不動産投資の最大の武器は「減価償却」です。建物の取得費用を、法で定められた耐用年数(例:木造22年、鉄筋コンクリート47年)にわたって分割し、「経費」として計上できる仕組みです。

ここで重要なのが「木造」と「新築」であること。木造の耐用年数は22年と短いため、毎年の減価償却費を大きく取ることができます。これがAさんのような高所得(高税率)の給与所得と損益通算されると、課税所得が劇的に圧縮され、多額の所得税・住民税が還付されるのです。これは、タワマンのような自己居住物件では絶対に得られないメリットです。

安定したキャッシュフローと低い維持コスト

新築アパートは、当然ながら入居者に人気があり、高い入居率と安定した家賃収入(インカムゲイン)が期待できます。また、向こう10年~15年は大規模な修繕が不要なため、修繕積立金に悩まされるタワマンとは対照的に、手元に残るキャッシュフローを最大化できます。

有利な融資条件とレバレッジ効果

Aさんのような高い社会的信用と年収があれば、金融機関から非常に有利な条件で融資を引き出すことが可能です。自己資金を最小限に抑え、他人の資本(銀行融資)を使って「ガチョウ」を育て、その「ガチョウ」が産む「金の卵(家賃収入)」でローンを返済していく。これこそが、資産形成の王道であるレバレッジ効果です

見せかけの富裕層ではなく、資産家を目指す

Aさんのミスは、年収3,000万円という「フロー」の大きさに安心し、「ストック(積み上がる資産)」の構築を怠ったことにあります。

見た目が豪華なタワマンは、承認欲求は満たしてくれるかもしれませんが、将来のキャッシュフローは生み出しません。それは見せかけの資産なのです。

本物の経済的自由とは、自分が働かなくても「資産」が働いてくれる状態を築くことです。そのための手段のひとつが、「新築アパート投資」です。

 

〈執筆者〉

長岡 理知

長岡FP事務所

代表

2005年プルデンシャル生命保険に入社。2009年より大手住宅メーカー専属FPとして家計相談業務をスタート。住宅購入時の相談は累計3500世帯を超える。2020年に保険会社を退職し、住宅専門の独立系FP事務所を設立。 住宅を購入する時の予算決めと家計分析、リスク対策を専門業務とする。建物の構造・仕様・施工品質による維持費の違いや寿命に着目し、安易な建物価格での比較に警鐘を鳴らしている。