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人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏も例外ではありません。そのようななか、今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資の検討において重要な要素のひとつである「人口」に注目をして考察していきます。今回注目するのはJR京浜東北線とJR武蔵野線が乗り入れる「南浦和」駅。

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京浜東北線の始発駅、都心への軽快なアクセス

埼玉県さいたま市南区に位置する「南浦和」駅は、JR京浜東北線とJR武蔵野線が乗り入れる、交通の要衝です。南浦和駅の1日平均乗降人員は約5万5,000人(令和6年度)で、武蔵野線では第4位。近年、安定した利用者を誇っています。

南浦和駅の最大の魅力のひとつは、京浜東北線の一部の始発駅である点です。朝の通勤・通学時間帯には南浦和駅を始発とする列車が運行されており、都心方面へ座って移動できるチャンスがあります。これは、毎日の通勤・通学のストレスを大きく軽減する、単身者にとって非常に大きなアドバンテージです。

京浜東北線を利用すれば、「上野」駅まで約30分、「東京」駅まで約40分、「品川」駅まで約50分と、主要な都心ターミナル駅へ乗り換えなしでダイレクトにアクセス可能。また、大宮方面へもスムーズに移動でき、さいたま市の中心地へのアクセスも良好です。

さらに、JR武蔵野線が乗り入れていることで、千葉方面や西東京方面への移動も便利です。特に、武蔵野線は東京ディズニーリゾートのある「舞浜」駅へも乗り換えなしでアクセスできるため、休日のお出かけの選択肢も広がります。車でのアクセスも、東京外環自動車道の「外環浦和IC」が近く、都内や北関東方面へのアクセスが良い点も特筆に値します。

駅周辺は、隣接する「浦和」駅と比べると派手さはありませんが、生活に必要な施設が充実し、全体的に落ち着いた雰囲気の住宅街が広がっています。特に東口側は、古くからの住宅街に加えてマンションが立ち並び、西口側はさいたま市文化センター方面へ向かう道の先に閑静な住宅街が広がります。

南浦和エリアは、さいたま市内でも「文教地区」としての側面を持つ地域であり、学習塾や予備校が多く、教育熱心なファミリー層が多く住んでいます。この文教的な環境が、街全体の治安の良さにもつながっており、単身者はもちろん、子育て世帯にとっても安心感の高い住環境を提供しています。

日常の買い物利便性も非常に高い水準です。駅周辺には、深夜1時まで営業している「マルエツ」をはじめ、「ダイエー」「ヤオコー」などの大型スーパーマーケットが複数あり、帰宅が遅い単身者でも日常の買い物に困ることはありません。他にもドラッグストアやコンビニエンスストア、個人経営からチェーン店までの多彩な飲食店が揃っており、単身者の外食ニーズにも十分応えられます。

ファミリー層にとって魅力的なのは、子育て環境の充実度です。南浦和エリアは、教育施設や公園が豊富なのが特徴。保育園・幼稚園や小中学校が点在し、子育て支援に関する行政サービスも充実しています。また、「大間木公園」のようにドッグランを併設した広い公園など、大小さまざまな公園が点在しており、子どもたちがのびのびと遊べる環境が整っています。

都心への軽快なアクセスと座って通勤できる始発の利便性、そして文教地区特有の穏やかで治安の良い住環境。優れた交通利便性を確保しながらも、都心に比べて家賃相場が手頃である点も、単身者や若年層にとって大きな魅力となり、多様なライフスタイルに応える街として、今後も安定した居住ニーズが見込まれる将来性の高いエリアといえるでしょう。

「南浦和」駅周辺の不動産投資の可能性

優れた交通利便性と文教の気風を併せ持つ「南浦和」駅エリアは、不動産投資の観点から見ても、特に単身者向け賃貸市場において高いポテンシャルを秘めています。

「南浦和」駅が位置するさいたま市南区の人口動態は、首都圏の郊外都市のなかでも群を抜いて堅調です。2020年国勢調査によると、南区の人口は約19万1,563人であり、2015年からの人口増加率は106.3%と、さいたま市内でも高い伸び率を誇ります。この安定的な人口増加の背景には、都心への通勤・通学に便利なアクセスを持つ、単身者や若年層を惹きつける力があります。

人口ピラミッドをみると、男女ともに40代後半がボリュームゾーンのつぼ型。不動産投資においてメインターゲットとなる20代から30代前半については年齢とともに増加。このデータからも、交通利便性の高さから多くの単身者に選ばれている街であることが見て取れます(図表1)。

 

【図表1】埼玉県さいたま市南区の人口ピラミッド 出典:総務省「国勢調査」

 

その実態は、昼夜間人口比率にも表れています。南区の昼夜間人口比率は約75%と、日中に多くの住民が区外へ流出する典型的なベッドタウンの構造を示しています。これは、利便性を求め、都心へ通勤・通学する単身者が多く居住していることを意味しており、「南浦和」駅がその流動人口の主要な居住地として機能している揺るぎない証拠です。

「南浦和」駅の最大の強み、京浜東北線の一部始発駅である点は、都心へ通う単身者にとって、何物にも代えがたい付加価値となります。朝のラッシュ時に座って通勤・通学できるという快適性は、日々の生活の質を大きく向上させます。この「始発」の魅力は、家賃を多少上乗せしても選ばれる理由となり、周辺駅との差別化を図る強力な付加価値となります。

この始発の利便性と、駅周辺にスーパーや飲食店が充実している高い生活利便性が組み合わさることで、単身者は「都心まで軽快にアクセスしつつ、住まいはゆとりある環境で快適に過ごしたい」というニーズを十分に満たすことができます。このため、「南浦和」駅は、都心へのアクセス圏内で物件を探す競争力の高い単身者層から、今後も選ばれ続けるでしょう。

不動産投資の安定性を測る上で重要な家賃相場についても、「南浦和」駅は非常に魅力的です。大手住宅情報サイトのデータでは、単身者向けのワンルーム・1Kタイプで6.5万円~7.7万円前後という相場を形成。これは、都心主要駅へのアクセスを考慮すると非常に適切な水準です。たとえば、京浜東北線沿線の主要駅と比較しても、極端な高騰は見られず、一般的な会社員や学生の収入水準(厚生労働省調査による20代前半正社員の平均月収などを基準)における「適正家賃」の範囲に十分に収まります。

つまり、「南浦和」駅周辺は、都心アクセスという強力な付加価値を提供しながら、賃料が過度に高すぎないため、入居者の負担が少なく、賃貸需要が安定しやすいという、投資家にとって理想的なバランスを実現している街だといえるでしょう。

今後のさいたま市南区の将来人口をみていくと、2040年に20万人を目前にピークに達しますが、ほぼ横ばいで推移していきます。年齢別にみていくと、2020年を100とした際、15歳未満人口は90.8、15~65歳未満は91.2、とおよそ1割減となる一方で、65歳以上は151.1と増加。一見すると、高齢化が顕著に思えますが、数でみていくと印象が変わります。

 

【図表2】埼玉県さいたま市南区の人口推計 出所:国立社会保障・人口問題研究所『将来推計人口・世帯数日本の地域別将来推計人口 令和5(2023)年推計』

 

〇15歳未満:2020年2万5,696人→2040年2万4,296人

〇15~64歳未満:2020年12万8,445人→2040年12万2,541人

〇65歳以上:2020年3万7,422人→2040年5万2,959人

 

15歳未満人口も、生産年齢人口(15~64歳)も、大きな現象ではないことがわかります(図表2)。これは日本全体が大きく人口構造を変えるなか、交通利便性が高く、生活環境が整った「南浦和」駅周辺は、それほど大きな人口構造の変化は起きることはない、つまり単身者向けの賃貸需要が底堅く、将来にわたって高い競争力を維持すると予測されます。

投資家としては、この安定した単身者ニーズを的確に捉え、「京浜東北線始発」の優位性を最大限に活かす立地で、入居者のライフスタイルに寄り添った高品質な新築物件を供給していくことが、このエリアで成功を収めるための重要な鍵となるでしょう。南浦和駅は、単身者向け不動産投資において、高い将来性と安定したリターンが見込める、非常に有望なエリアといえるのです。