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経済ニュース、SNS、専門家のコラム…意識の高いビジネスパーソンほど、日々大量の情報に触れ、資産形成に活かそうと努力します。しかし、その真面目さが逆に「狼狽売り」や「高値掴み」を誘発し、大切な資産を溶かす落とし穴になっていることも。本記事では、情報過多がもたらす弊害と、ノイズに惑わされず着実に資産を築くための「情報デトックス」と「仕組み化」について、FPが徹底解説します。
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なぜ情報収集が“逆効果”になるのか?
年収3,000万円の高所得層は、「常に新しい知識や経験を追い求め、自分を成長させ続けたい」という意識が高いといわれています。そのため、情報収集が活発である一方で、それが裏目に出ることがあります。高所得層は、最新の情報を追い求めるあまり、「FOMO」(フォーモ Fear Of Missing Outの略語)と呼ばれる、「社会から取り残されてしまう不安・恐怖」に陥りやすくなります。
この心理状態は、大事な情報や機会を見逃すことを恐れ、市場のわずかな変動に過剰に反応し、焦りから短期的な売買を繰り返す原因となります。資産形成は、本来、長期的な視点が有効なはずが、頻繁な取引によって、手数料や税金の発生、売買のタイミングの失敗などを招き、かえって資産を減らしてしまうことに。
「取り残される不安」を恐れて、インターネット・SNSへの依存が生じやすくなります。さらに問題を大きくしているのは、投資や金融に関する情報を発信し、SNSで影響力のある「インフルエンサー」のポジショントークです。繰り返し断定的な発信を行ったり、特定の銘柄を推奨し、自分の保有株の価格を吊り上げたりしたいという意図があります。
無秩序な情報収集は、冷静な判断を曇らせ結局は逆効果になることを理解し、情報との適切な距離感を保つことを大切にしましょう。
あなたの資産を守る「情報デトックス」思考法
資産形成において情報過多は、時には毒となります。不必要な情報によって重要な情報が埋もれてしまう「ノイズ」から、あなたの身を守り資産を守る、「情報デトックス」思考法を身につけましょう。
まず、必要な情報とノイズを見極めることが重要です。必要な情報とは、ご自身の投資目的や投資目標、投資方針に直接的に関わる、信頼性の高いデータや企業の決算情報などです。一方で、インターネット・SNSにあふれる「○○で大儲け!」といった短期的に収益を得られるとあおる記事や、根拠のない噂話は、不要な“ノイズ“です。
ノイズと言える情報に振り回されず、ご自身にとって本当に価値のある情報源を厳選することが、冷静な判断基準を保つ第一歩です。
情報デトックスは、ネガティブな精神状態を前向きな状態に整える、メンタルコントロールにもつながります。市場の短期的な変動に一喜一憂して行動するのを辞め、長期的な視点を持つことが資産形成の成功には不可欠です。
「株価が下落した」といって慌てて売却するのではなく、心や時間・資金の余裕を持って当初に決めた、投資手法や投資計画に基づき、冷静に行動するように努めましょう。日々の価格変動を頻繁にチェックしないことも有効な手段です。心理的な安定を保つことで、感情的な取引を避けられます。
重要な思考法の一つとして、「何もしない」という選択肢があります。「何もしない」というのは、市場の動きに合わせて、下がったから売る、戻ったから買う、などの性急な行動をしないことです。むしろ、情報から離れ市場が落ち着くのを待つことが賢明な場合があります。“下がった株を買う“のはリスクを取る手法です。じっくりと腰を据えて、行動を起こさない勇気を持つ、じっと我慢する。これが、皆さんの資産を守る最後の砦となり得るのです。
“ほったらかし”でも資産が増える「不動産投資」という選択
資産形成において、上述した「何もしない」ことが最良の選択肢となることがあります。その典型的な例として挙げられるのが不動産投資です。不動産投資は、日々の値動きに振り回されがちな株式投資と比較すると、精神的安定を保ちながら資産を増やすことができます。
不動産は、FXや株式投資のように、瞬時に価格が変動するものではありません。市場のニュースや専門家の見解に一喜一憂せず、じっくり腰を据えて資産を保有することができます。このことで、投資家は情報ノイズによる精神的ストレスから解放され、感情的な判断ミスを避けられます。不動産投資は、日々の市場動向に悩むことがほとんどないのです。
不動産投資の魅力は、購入後の価格上昇による売却益(キャピタルゲイン)より、毎月安定した家賃収入(インカムゲイン)に重点を置くと、より投資リスクを抑えられます。また、給与収入とは別に安定したキャッシュフローを構築できることから、将来の資金計画が立てやすくなります。複数の物件を所有すれば、災害の被害や空室などによる収益の大きな減少を防ぎながら、資産を積み上げていくことができます。
不動産投資は、優良な物件を購入し、管理や運営を信頼できる管理会社に任せることができれば、趣味や家族との時間、本業のための自己研鑽など、本当にやりたいことがより自由にできます。情報収集に時間を費やす必要がある株式投資に比べると、入退去や修繕、売却等の重要な判断・指示、確定申告など、時間の使い方が最小限になります。不動産投資は、資産を増やすと同時に、最も貴重な“時間”を取り戻すことにもつながるのです。
時間と心を豊かにする資産形成へ
お金を増やし資産形成することは、人生をより豊かに送るための手段であって、お金を増やすこと自体が目的ではありません。しかし、多くの人がお金に囚われるあまり情報に追われ、本当に大切な時間や心の平穏を失っています。
SNSやメディアにあふれる「儲かる話」は、皆さんの心を混乱させるだけのノイズかもしれません。不確かな情報を鵜呑みにして一喜一憂していると、冷静な判断ができなくなり、短期的な売買を繰り返し行うことで、かえって資産を減らしてしまうことにもつながります。
必要なことは、信頼できる情報源を厳選し、ご自身にとって本当に必要な情報を見極める力です。市場の小さな動きに動揺するのではなく、長期的な視点を持ち続けることこそが、精神の平静をもたらします。
資産形成における理想的な状態とは、配当金、利子、家賃収入など、「自分が直接的に労働しなくてもお金を生み出す仕組み」を作ることです。投資信託の積立投資や不動産投資などは、最初に設定すれば、あとはほとんど労力をかけなくても、お金が育ちます。日々の値動きを追わなくても良いので、投資に関わる時間を最小限に抑えられます。
その結果として生まれた時間と心の余裕を、家族や友人との時間、趣味、スキルアップなど、人生をより豊かにするための「今」を充実したものにするために使いましょう。
お金を増やすこと自体が目的なってしまうと、いつまでも心の豊かさを得ることはできません。お金は皆さんの“人生をよりよくするためのツール”であることを忘れないようにしましょう。
〈執筆者〉
藤原 洋子
FP dream/代表FP
大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。