目次

人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏においても例外ではありません。そのようななか、今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資の検討において重要な要素のひとつ「人口」に注目をして考察していきます。今回注目するのは武蔵野線「新座」駅。

大人気の新築木造1棟アパート「カインドネスシリーズ」資料請求はコチラ>>>

都心への軽快なアクセスと武蔵野の自然が融合する街

埼玉県南西部に位置する「新座」駅は、JR武蔵野線が乗り入れる、都心へのアクセスの良さと豊かな自然環境を両立したエリアです。JR東日本によると2023年度の1日平均の乗車人員は約2万人。隣接する「北朝霞」駅で東武東上線に乗り換えれば「池袋」駅まで約25分、「武蔵浦和」駅で埼京線に乗り換えれば「新宿」駅へ約35分と、都心の主要駅へもスムーズにアクセスできます。

「新座」駅周辺の魅力は、その利便性と落ち着きを兼ね備えた住環境にあります。駅南口を中心に区画整理が進み、歩道が整備された美しい街並みが広がっています。駅から少し歩けば、閑静な住宅街が広がり、穏やかな暮らしを求めるファミリー層に人気です。駅のすぐ近くには、図書室や児童室も備えた「東北コミュニティセンター(公民館)」があり、住民の学びや交流の拠点となっています。また、各種手続きに便利な新座市役所や中央図書館も生活圏内に揃っており、暮らしをしっかりとサポートする環境が整っています。また、「子育てするなら新座」をスローガンに掲げ、子育て支援ポータルサイトの運営や、子ども家庭総合支援拠点を設けるなど、子育て世帯へのサポートが手厚い点も大きな特徴です。駅周辺には各種クリニックも揃っており、医療体制も万全です。

駅前にはスーパーマーケットやドラッグストア、飲食店が揃い、日常の買い物に不便はありません。また、国道254号(川越街道)沿いには、家電量販店やホームセンターなどのロードサイド店舗が充実しています。映画館を併設した「OSCデオシティ新座」や、多彩な専門店が集う「くみまちモールにいざ」といった大型商業施設もあり、休日には家族でショッピングやレジャーを楽しむことができます。

武蔵野の面影を色濃く残す、豊かな自然環境は新座エリアならではの大きな魅力です。国の天然記念物にも指定されている「平林寺」の境内林は、約43ヘクタールもの広さを誇り、紅葉の名所として知られています。コナラやクヌギの雑木林が広がる風景は、訪れる人々に安らぎを与えてくれます。また、江戸時代に作られた「野火止用水」が市内を流れ、その周辺は遊歩道として整備されており、散策やジョギングに最適です。ほかにも「新座市総合運動公園」をはじめ、大小さまざまな公園が点在し、気軽に自然と触れ合える環境が整っています。

交通の利便性は鉄道だけにとどまりません。駅前からは東武東上線「志木」駅・「朝霞台」駅や、西武池袋線「ひばりヶ丘」駅・「大泉学園」駅方面へ向かうバス路線が豊富に発着しており、多方面への移動がスムーズ。さらに、関越自動車道の「新座料金所」が至近にあるため、自動車での移動も極めて快適。都心方面はもちろん、関越方面へのレジャーにも便利な立地です。

市内には跡見学園女子大学や十文字学園女子大学のキャンパスが立地し、学園都市としての一面も持っています。また、新座市では「新座市都市計画マスタープラン」に基づき、緑豊かな住環境と都市の利便性が調和した街づくりが推進されています。駅周辺の整備も進められており、今後もさらなる住みやすさの向上が期待される、将来性の高いエリアといえるでしょう。

「新座」駅周辺の不動産投資の可能性

では、「新座」駅周辺の現況について見ていきましょう。2020年に行われた国勢調査によると、「新座」駅が位置する新座市の人口は16万6,017人です。これは5年前の調査と比較して2.4%の増加となりました。世帯数は7万3,634世帯です。1世帯あたりの人員は2.25人で、東京都平均の1.99人(2020年)を大きく上回っています。これは埼玉県内でも比較的人員数(1世帯あたりの平均人数)の多いエリアであり、多くのファミリー層が居住するエリアであることを示しています。

人口構成を見ていくと、15歳未満の年少人口は2万927人(12.6%)、15歳以上65歳未満の生産年齢人口は10万1,580人(61.2%)、そして65歳以上の高齢者人口は4万3,510人(26.2%)です。全国的に少子高齢化が進むなかで、新座市も同様の傾向にはありますが、生産年齢人口が6割を超え、安定した労働力人口を抱えています。

【図表1】埼玉県新座市の人口ピラミッド 出典:総務省「国勢調査」

新座市の昼夜人口比率を見ていくと87.98%です。これは都心に隣接する典型的なベッドタウンの数値であり、多くの住民が市外へ通勤・通学していることを示しています。流出先を見ていくと、最も多いのは「東京都練馬区」で、続く「朝霞市」で全体の15%。また上位10には東京都心の4区が入り(千代田区、豊島区、新宿区、港区)、全体の2割を占めています。武蔵野線の駅から乗り換えることで、都心の多方面に向かうことのできる特性から、通勤・通学者の居住地として非常に高い需要を持つエリアといえます。

次に家賃相場について見ていきましょう。「新座」駅周辺の家賃相場を大手住宅検索サイト3社の平均で見ていくと、1Kが7.35万円、1LDKが11.5万円、2LDKが14.5万円です。厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、20代前半・正社員の平均月収は23.7万円。一人暮らしにおいて、家賃は収入の3分の1程度が適正値と言われますが、新座はその範囲に収まるエリアです。都心へのアクセスを確保しながら家賃を抑えたいと考える若者や単身者にとって、「新座」駅周辺は有力な選択肢になり得る街といえそうです。

そんな「新座」駅周辺の将来像を考えていきましょう。新座市の総人口は2025年に16万7,000人台をピークに減少に転じると推測されています。しかし、その減少カーブは全国平均に比べて非常に緩やか。65歳以上の高齢者人口がほかのエリア同様に増加していくものの、一定数の現役世代が新座を選択すると考えられているのです。

【図表2】新座市の人口推計 出所:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」 ※2020年までは「国勢調査」のデータに基づく実績値、2025年以降は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(令和5年12月公表)に基づく推計値

「新座」駅周辺の今後の人口増減を、2015年人口と2040年の人口推計で比較し、増加率が高いほど暖色系に、減少率が高いほど寒色系に色付けされるメッシュ分析で見ていくと、駅周辺、特に南口の区画整理されたエリアを中心に、人口が維持されるか、微増となる地域が広がり、駅勢圏内は比較的安定した人口が見込まれています。不動産投資の観点から見ると、「新座」駅周辺は今後も賃貸需要が底堅いエリアといえるでしょう。

【図表3】「新座」駅周辺将来人口メッシュ 出所:国土交通省『メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)』

日本の人口減少という大きな潮流の中、不動産投資において人口動態の把握は不可欠です。今回取り上げたJR武蔵野線「新座」駅周辺は、都心への軽快なアクセス、単身者層にもファミリー層にも対応できる住環境と商業施設、そして武蔵野の豊かな自然といった多様な魅力を兼ね備えています。データが示すように、今後も都心への通勤・通学の利便性から社会増が見込まれ、幅広い世代に選ばれ続けるポテンシャルを秘めています。

一方で、賃貸需要が旺盛な地域であるからこそ、物件間の競争が激しい地域でもあるといいえます。中長期的な視点をもち、適切な賃貸管理によりニーズにしっかり応えていくことが勝敗を分けることになるでしょう。