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人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏においても例外ではありません。そのようななか、今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資の検討において重要な要素のひとつ「人口」に注目をして考察していきます。今回注目するのは都営新宿線「篠崎」駅。


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都心へのアクセスと自然の調和:都営新宿線「篠崎」駅周辺の魅力と不動産投資の可能性

東京都江戸川区に位置する「篠崎」駅は、都営新宿線の東端に近い駅のひとつであり、静かな住宅街として人気の高いエリアです。2023年における1日あたりの乗降客数はおよそ3万8,000人です。都心からはやや距離があるものの、新宿線を利用すれば「新宿」駅まで約40分、「市ヶ谷」駅までは35分ほどと、都心へのダイレクトなアクセスが可能です。

 

「篠崎」駅周辺の最大の魅力のひとつは、その住環境の良さです。駅周辺は落ち着いた低層住宅街が広がり、騒がしさとは無縁の穏やかな空気が流れています。徒歩圏内には保育園、小中学校、区立図書館、区の施設などが充実し、子育て世代にも安心の環境です。医療機関も点在しており、日常の診療から専門診療まで幅広く対応できる安心の体制が整っています。

 

商業施設も充実しており、駅直結の「篠崎ツインプレイス」にはスーパーの「サミットストア」をはじめ、書店、ドラッグストア、コンビニが揃っており、買い物の利便性が高い点も魅力です。「松屋」や「サンマルクカフェ」といったチェーン店のほか、個人経営のベーカリーや地域密着型の飲食店なども軒を連ね、暮らしに彩りを添えています。

 

自然環境に恵まれている点も、篠崎エリアの大きな特長です。駅からほど近くにある「篠崎公園」は、野球場やテニスコート、バーベキュー広場、子ども用遊具などを備えた大型公園で、地域住民の憩いの場として親しまれています。また、荒川や江戸川といった大規模な河川にも囲まれており、河川敷ではランニングやサイクリング、散歩などを楽しむことができます。四季折々の自然を身近に感じながら、心身ともにリフレッシュできる環境が整っています。

 

交通利便性においても、都営新宿線だけでなく、近隣駅で他路線への乗り換えが可能です。「瑞江」駅や「本八幡」駅を利用すれば、京成線やJR総武線との接続もスムーズです。さらに、駅前からは都営バス・京成バスが発着しており、「新小岩」や「船堀」「小岩」など近隣主要エリアへのアクセスも快適です。篠崎街道や環七通りも近く、自動車での移動もストレスが少ない点も支持されています。

 

また駅直結の複合施設「しのざき文化プラザ」には、区立図書館やギャラリー、カフェ、学習スペースなどが集まり、地域文化の発信拠点としても活用されています。子どもから高齢者までが気軽に集える場として多世代交流の拠点となっている点も、この地域の魅力のひとつです。

 

さらに江戸川区では駅前を含めた都市整備や公共施設の更新が継続的に進行しており、防災や防犯の観点からも安心して暮らせる街づくりが推進されています。これらの取り組みにより、今後の発展がさらに期待されるエリアといえるでしょう。

「篠崎」駅周辺の不動産投資の可能性

では、「篠崎」駅周辺の現況について見ていきましょう。2020年に行われた国勢調査によると、「篠崎」駅が位置する江戸川区の人口は69万7,932人です。これは5年前の調査と比較して2.44%の増加となりました。世帯数は32万987世帯です。1世帯あたりの人員は2.09人で、東京都平均の1.92人、東京区部の1.85人を上回っています。これは23区で最も1世帯あたりの人員数が多く、多くのファミリー層が居住するエリアであることを示しています。

 

人口構成を見ていくと、15歳未満の年少人口は8万6,270人、15歳以上65歳未満の生産年齢人口は44万9,387人、そして65歳以上の高齢者人口は14万5,764人です。この20年間で総人口は9万人増加しましたが、年少人口の割合は2ポイント、労働生産人口の割合は8ポイント減少しています。その一方で、65歳以上の高齢者人口は大きく増加したことになります。

[図表1]東京都江戸川区の人口ピラミッド 出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

江戸川区の昼夜人口比率を見ていくと81.92%です。これは東京23区では練馬区(79.90%)に次いで低く、人数では3万2,998人と、最も区外への通勤・通学者が多いエリアであることがわかります。流出先を見ていくと、最も多いのは隣接する「東京都江東区」です。次いで「東京都千代田区」「東京都中央区」「東京都港区」と続き、この4区で半数近くを占めています。江戸川区は都心方面への通勤・通学者が多い、ベッドタウン的要素の強いエリアといえます。

 

次に家賃相場について見ていきましょう。「篠崎」駅周辺の家賃相場を大手住宅検索サイト3社の平均で見ていくと、ワンルームは7.2万円、1Kが7.4万円、1DKが9.3万円、1LDKが11.3万円、2LDKが13.5万円、3LDKが16.9万円です。厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査』によると、20代前半・正社員の平均月収は23.7万円です。一人暮らしにおいて、家賃は収入の3分の1程度が適正値とよく言われています。都心へのアクセスを確保しつつ家賃を抑えたいという若者にとって、「篠崎」駅周辺は有力な選択肢になり得るエリアといえそうです。

 

そんな「篠崎」駅周辺の将来像を考えていきましょう。江戸川区の総人口は、2025年に▲0.76%と一時的に人口減少が予測されていますが、その後2035年にかけては人口が微増すると予想されています。

[図表2]江戸川区の人口推計 出所:総務省「国勢調査」、厚生労働省「人口動態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」 ※2020年までは「国勢調査」のデータに基づく実績値、2025年以降は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(令和5年12月公表)に基づく推計値

国立社会保障・人口問題研究所によると、江戸川区の2045年人口における自然増減の影響度は5段階評価で「4」です。一方で社会増減は「1」となっています。出生数の減少による人口減少の影響の大きいエリアであるものの、都心へのアクセスや住環境の良さという特徴から、引き続き、人口流入は見込まれるエリアだといえるでしょう。

 

「篠崎」駅周辺の今後の人口増減を、2015年人口と2040年の人口推計で比較し、増加率が高いほど暖色系に、減少率が高いほど寒色系に色付けされるメッシュ分析で見ていくと、駅周辺では一部人口減少が予測される地域はあるものの、安定的な人口増加が見込まれる地域が広がり、中には大きく人口増加が期待される濃赤の地域も存在します。不動産投資の観点から見ると、「篠崎」駅周辺は今後も有力な選択肢となり得る地域と言えます。

【図表3】「篠崎」駅周辺将来人口メッシュ 出所:国土交通省『メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)』

日本の人口減少という大きな流れの中で、不動産投資において人口動態の把握は不可欠です。今回取り上げた都営新宿線「篠崎」駅周辺は、都心へのアクセス性、充実した住環境や商業施設、豊かな自然、そして地域コミュニティの活性化といった多角的な魅力が揃っています。さらに、データが示すように、今後も通勤・通学の利便性から社会増が見込まれ、単身者層を中心とした現役世代に選ばれ続ける可能性があります。中長期的な視点での不動産投資において、引き続き有望なエリアの1つとして注目できるでしょう。