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人口減少基調にある日本。人口が集中する首都圏においても例外ではありません。そのようななか、今後、どこが投資エリアとして有望なのでしょうか。不動産投資の検討において重要な要素のひとつ「人口」に注目をして考察していきます。今回注目するのはJR武蔵野線「武蔵浦和」と「西浦和」周辺。

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JR武蔵野線で繋がる「武蔵浦和」と「西浦和」

埼玉県の県庁所在地さいたま市。その中心的なターミナル駅である「大宮」駅から南へ約4km、さいたま市南区にある「武蔵浦和」駅と、さいたま市桜区にある「西浦和」駅周辺は、交通の結節点として発展するエリアです。「武蔵浦和」は都心と埼玉を結ぶ埼京線と、東京の東西を結び千葉方面へ延びる武蔵野線の2路線が乗り入れ、隣接する「西浦和」には武蔵野線が停車します。

 

特に「武蔵浦和」駅は、埼京線の通勤快速停車駅(大宮駅〜赤羽駅間では唯一)という利便性の高さから、1日あたりの乗降客数は9万3千人を超えています(2023年度)。これは、新宿や池袋といった日本の主要駅が名を連ねる埼京線のなかでも8番目に多い数字です。

 

【埼京線乗降客数(2023年度)】

新宿:1,20万5,116人

池袋:91万7,582人

渋谷:58万5,262人

大宮:45万2,498人

大崎:23万6,978人

恵比寿:22万5,204人

赤羽:17万3,036人

武蔵浦和:9万3,186人

 

また、この数字は武蔵野線においても5番目に多く、「武蔵浦和」駅が2路線の双方で重要な役割を担っていることがわかります。

 

【武蔵野線乗降客数(2023年度)】

西船橋:23万9,882人

南越谷:13万5,630人

北朝霞:12万7,052人

南浦和:10万2,616人

武蔵浦和:9万3,186人

 

都心へのアクセスも非常にスムーズです。埼京線を利用すれば、通勤快速で「新宿」駅まで約23分、「池袋」駅へも約25分で到着します。さらに、北陸・東北方面への玄関口である新幹線停車駅「大宮」駅へも約12分と、出張や旅行にも便利な立地です。 一方、武蔵野線を利用すれば、千葉方面の「西船橋」駅へ約45分でアクセスできます。

 

このエリアの発展は、1985年(昭和60年)の埼京線開通と「武蔵浦和」駅の開業から始まりました。翌年には旧浦和市の計画によって「副都心」と位置づけられ、計画的な街づくりがスタート。埼玉県のなかでも比較的新しい街でありながら、2000年代以降もタワーマンションの建設など継続的な都市開発によって、常に進化を続けています。こうした開発の結果、現在、このエリアを含む「西浦和地区」の人口は2万5,000人を超えています。

 

暮らしを支える生活利便性も、この街の大きな魅力です。駅直結の商業施設「ビーンズ武蔵浦和」をはじめ、駅周辺には、区役所や子育て支援センターなどが入る複合公益施設「サウスピア」、多彩な店舗が揃う「MUSE CITYショッピングスクエア」、各種クリニックが集約された「武蔵浦和メディカルセンター」などが集まり、地域住民の暮らしやすさを第一に考えた、計画的な街づくりが実感できます。 武蔵野線で隣駅の「西浦和」駅周辺も、この「武蔵浦和」駅の優れた交通網と生活環境を享受できる、魅力的なエリアといえるでしょう。

「武蔵浦和」と「西浦和」周辺の不動産投資の可能性

 

では、「武蔵浦和」「西浦和」周辺の現況についてみていきましょう。2020年に行われた国勢調査によると、さいたま市の人口は132万4,591人。南区は19 万1,635人で5年前調査から6.8%増えました。また世帯数は8万5,589世帯で、前回調査から9.9%の増加。「人口増加率<世帯数増加率」であることから、核家族化の進行、単身層の増加が見られます。

 

人口構成をみていくと、南区は老年人口が19.23%、生産年齢人口が65.5%、年少人口13.41%。桜区は23.31%、生産年齢人口は62.07%、年少人口は11.15%。さいたま市全体(老年人口:23.04%、生産年齢人口:62.02%、年少人口:12.75%)と比べると、南区のほうが若年層、ファミリー層の流入が多いことがわかります。

 

[図表1]さいたま市南区(左)と桜区(右)の人口ピラミッド
[図表1]さいたま市南区(左)と桜区(右)の人口ピラミッド 出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

さいたま市の昼夜人口をみていくと、昼間人口105万人に対し、夜間人口は115万人。域外への抽出者数をみていくと、流出人数30.7万人のうち、東京都千代田区へ9.3%、東京都港区7.4%、東京都新宿区が6.0%と、東京都心への流出が上位を占め、埼玉県の中核都市ではあるものの、典型的なベッドタウンの特性が強い地域といえるでしょう。

 

次に家賃相場についてみていきましょう。「武蔵浦和」「西浦和」駅周辺の家賃相場を大手住宅検索サイト3社の平均でみていくと、「武蔵浦和」は1Kが9.1万円、1LDKが13.1万円、2LDKが16.9万円、3LDKが25.9万円。「西浦和」は1Kが7.0万円、1LDKが9.6万円、2LDKが13.3万円、3LDKが13.6万円。隣接する駅ですが、「西浦和」の家賃水準は「西浦和」の7割程度。都心への通勤・通学者であっても家賃を抑えたいと考えるのであれば、乗り換えの手間が発生しても「西浦和」が選択肢になるでしょう。

 

そんな「武蔵浦和」「西浦和」駅周辺の将来像をみていきましょう。まず、さいたま市南区は今後も緩やかに人口増が続き、2040年19万9,796人でピークに達します。人口増の中心は65歳以上の高齢者。2025年時点で高齢者率は20%ほどですが、6ポイント強増えるとされています。一方、さいたま市桜区は2020年が人口のピークとされ、以降は徐々に減少。2040年には9万3,480人になるとされています。高齢者率は7ポイントほど増え、31%強に達します。

 

[図表2]さいたま市南区(右)と桜区(左)の人口推計 出所:総務省「国勢調査」、厚生労働省「人口動態調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
※2020年までは「国勢調査」のデータに基づく実績値、2025年以降は「国立社会保障・人口問題研究所」のデータ(令和5年12月公表)に基づく推計値

隣接する「武蔵浦和」と「西浦和」ですが、人口に注目したとき、「西浦和」のある桜区ではより人口減が顕著になる予想となっています。不動産マーケットは人口が増加すれば不動産の需要が高まり、価格や賃料も上昇する傾向にあり、逆に人口が減少すると需要が減少し、価格や賃料が下落する可能性があるといわれています。そう考えると、「西浦和」周辺は注意が必要かといえば、そういうわけではありません。

 

両駅周辺の今後の人口増減を、2015年人口と2040年の人口推計で比較し、増加率が高いほど暖色系に、減少率が高いほど寒色系に色付けされるメッシュ分析でみていくと、両駅周辺とも人口増が予想される地域だということがわかります。「武蔵浦和」の周辺のほうが色が濃いため、より人口増が顕著ではあるものの、「西浦和」周辺でも穏やかではありますが、人口は増加する予想です。

 

【図表3】「武蔵浦和」「西浦和」駅周辺将来人口メッシュ 出所:国土交通省『メッシュ別将来人口推計(平成30年推計)』

東京西部~埼玉~千葉~東京と、大都市圏の外縁をぐるっと回る武蔵野線は、さまざまなエリアにアクセスできるほか、乗り換えにより都心へリーチでき、しかも都心にダイレクトにアクセスできる路線よりも家賃水準は割安というメリットのある路線です。さらに西武が武蔵野線との直通運転を検討するなど、利便性のさらなる向上も期待されています。

 

昨今、都心部では不動産価格の上昇に伴い、家賃水準も高騰。一方で給与はそれほど上昇はみられないことから、家賃の安い郊外の人気が高まっています。そのようななか、家賃水準の安い武蔵野線沿線は穴場として注目。特に交通の結節点となる「武蔵浦和」周辺と隣接する「西浦和」周辺は、ロケーションによっては2路線が利用できる、まさに穴場エリア。不動産投資においても、ぜひ、注目していきたいエリアといえるでしょう。