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高所得層の多くは、資産額が大きいので現預金比率が高くなりがちです。しかし、昨今のインフレ環境下では、現預金の価値は実質的に目減りしていきます。高所得層が「守りの資産形成」として良かれと思い行っている行動が、実は資産を目減りさせる落とし穴になっているかもしれません。リスクとリターンのバランスを考慮したうえで、インフレに強く、将来的に安定したキャッシュフローを生み出す不動産投資の優位性を解説します。
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高所得層の「守りの資産形成」の落とし穴
高所得層といわれる人はどのような人なのか、現在のところ国の明確な定義はありません。一つの目安として、所得税の税率が最も高い、年収850万円以上の人を高所得層と呼ぶことが多いようです。
高所得層の投資先は、一般の投資家と比べて運用額が大きくなります。仮に保有している金融資産に7%の下落が起こったとしましょう。運用額が100万円なら損失額は7万円ですが、運用額が5,000万円なら損失額は350万円となり、運用額に応じて損失は大きくなります。
そのため、高所得層は、銀行預金や国債など、安全性の高いとされる金融商品に偏りがちなポートフォリオを構築する傾向があるようです。しかし、失わないことに重きを置いた「守りの資産形成」には、大きな落とし穴も潜んでいます。
総務省が公表している2025年(令和7年)4月分の消費者物価指数は、すべての品目の値動きを反映した総合指数において、前年同月比3.6%の上昇です。100万円の実質的な価値は、1年間で96万4,000円になったと計算できます。
たとえば100万円を銀行に預けたとします。現在(2025年6月時点)、メガバンクの普通預金の金利は0.2%ですから、1年後に受け取る税引き後の利息は1,600円です。国債も同様で、インフレ率より高い利回りが得られない場合は、物を買うときの支払能力はだんだん下がっていくことが予想されます。
従って、物価が上昇するインフレ局面では、インフレリスクに対応する視点を持つことが、本当の意味での「守りの資産形成」と言えるのではないでしょうか。
インフレに強い資産とは?
インフレ時には、現金を多く所有している人は、資産価値の目減りが大きくなります。しかし、インフレに伴って価値が上がる資産もあります。インフレに強いといわれる資産を合わせて保有してはいかがでしょうか。
形がありそれ自体に価値のある現物資産
代表的なのものに、不動産、純金やプラチナなどの貴金属、美術品などがあります。主な注意点としては、損傷や盗難に遭う可能性がある、保有するためのコストがかかる、などが挙げられます。
物価上昇に合わせて価格が上昇しやすい有価証券
食料品、日用品、電気やガス・水道などのエネルギー関連企業などの株式は、需要が維持されやすいです。価格が上がっても売上が下がりにくいので、インフレに強い傾向があります。ただし、個別銘柄に投資をするには企業の調査が必要であるなど、難易度は高めです。
外国通貨を保有する
日本がインフレになった場合、円の価値は低下していきますが、相対的に外国通貨の価値は高くなり、米ドルやユーロなどの外貨も保有するとインフレ対策になります。購入時より円高になると損失が生じる場合があります。
不動産投資の本当の価値
インフレに強いといわれる資産でも、赤字になる可能性があるということも知っておくことが大切です。そのうえで、不動産への投資が収益を得やすいといわれる点を見ていきます。
不動産は、土地や建物といった「モノ」としての実態があります。それ自体に価値があり、住まいとして一定の需要が見込まれるため、資産価値が下がりにくいという特徴を持っています。さらに、需要のあるエリアでは、物価の上昇とともに、不動産の価値も上昇する傾向にあります。売却してまとまった収益を狙うタイミングとすることも可能です。
また、貴金属や美術品などの現物資産は、配当や利子がないので収益を得づらい特徴がありますが、不動産は、家賃収入の上昇も見込めるので、安定した収益が期待できます。インフレによって物価が上昇すれば、生活費や運営コストが上がるため、家賃も物価高に合わせて引き上げられるからです。人口が増加しているエリアでは需要が高いので、家賃は上がりやすい傾向があります。
固定金利で投資用ローンを組んでいる場合は支払額は変わりませんが、家賃収入が増えると返済負担が軽減されます。
アパート投資の優位性
不動産投資には多額の資金が必要です。「借入れをしなければならないので、まずは区分マンションから小さく始めよう。」と考える人もいます。また、区分マンション投資、一棟マンション投資、戸建て投資などにも、その投資方法が向いているというケースはあります。それぞれの違いを理解してご判断いただくという前提で、アパート投資が優れている点についてみていきます。
空室リスクの分散
アパートは複数戸あるので。一時的に空室が発生しても収入はゼロにならず、全体としての家賃収入を維持しやすいという特徴があります。
利回り
立地や築年数によって変わりますが、一棟アパートのほうが区分マンションより、利回りの高い物件が多いです。
資産形成がしやすい
投資用不動産の購入までのプロセスや手間は、一棟アパートか区分マンションかであまり変わりません。資産規模を拡大したい場合は、区分マンションのほうが手間がかかります。
節税効果を期待しやすい
木造アパートの減価償却期間は、他の構造の物件より短いので、1年あたりの減価償却費を比較的大きく取れることが多いです。建物部分の減った価値を確定申告で経費として計上することができます。
すべての不動産がインフレに強く安心なわけではありません。立地の良さや築年数、賃貸需要の高さなどを慎重に見極めましょう。金利上昇リスク、空室リスク・修繕費、売却のしやすさなどにも備えた堅実な物件選びが重要です。インフレ対策としてだけでなく、総合的な視点で不動産投資による資産形成を成功させましょう。
〈執筆者〉
藤原 洋子
FP dream/代表FP
大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。