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「この物件、本当に儲かるのかな?」 不動産投資を始めたばかりの人なら、誰もが一度はこんな疑問を持つはずです。目先の家賃収入や表面利回りだけを見て判断してしまうと、後々「思っていたのと違う…」ということにもなりかねません。そんなときに役立つのが「DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)」という考え方です。少し難しそうに感じるかもしれませんが、要するに「将来の収益を今の価値に換算してみよう」という方法。初心者にもわかりやすく紹介します。

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DCF法=「割引現在価値法」「正味現在価値法」

DCF法とは、簡単に言えば「これから得られるお金を、今の価値に置き換えて計算する方法」です。英語では「Discounted Cash Flow」の略で、日本語では「割引現在価値法」や「正味現在価値法(NPV)」とも呼ばれています。

 

なぜこんなことをするのかというと、「将来のお金は今より価値が低い」という前提があるからです。たとえば、今すぐ100万円もらえるのと、10年後に100万円もらえるのとでは、同じ金額でも意味が違いますよね。今もらえれば、そのお金を使って投資もできるし、価値ある使い方もできる。一方、10年後の100万円には、今と同じ価値はありません。DCF法はこの「時間の価値の差」を考慮して、未来のお金を「現在の価値」に割り引いていく計算をします。

DCF法の基本的な仕組み

基本的な流れはシンプルです。まず、物件から将来的に得られるであろう毎年のキャッシュフロー(収支)を予測します。その金額を「割引率」という利回りに基づいて、現在の価値に換算。全部の現在価値を合計し、初期投資額と比較して、プラスなら買い、マイナスなら慎重に。計算式は以下のようなイメージになります。

 

NPV = 各年のキャッシュフロー ÷(1 + 割引率)^年数 − 初期投資

 

少々難しく見えますが、Excelを使えば自動計算も可能。慣れればそう難しいものではありません。

不動産投資におけるDCF法の活用例

購入を迷っているときの「モノサシ」に

たとえば、あなたが今、都内の築浅ワンルームと、地方都市の築古アパート、どちらに投資しようか迷っているとします。

 

一見、地方アパートのほうが利回りは高く見えるかもしれません。でも、空室リスクや修繕費、売却時の価格などを長い目で見て評価したら、都内のほうが結果的にリターンは大きくなる……なんてこともあるんです。この「本当にお得なのはどっちか?」を見極めるのに、DCF法がぴったりです。

 

保有中の物件の「見直し」にも使える

実はDCF法って、買うときだけのものじゃありません。物件を持っている間も、定期的に将来価値を見直すために使えます。たとえば、近くに大規模な再開発が決まったり、家賃相場が上がってきたりしたとき。それらを加味して、キャッシュフローを更新すれば、その物件が「売るべきか? 持ち続けるべきか?」の判断材料になります。

DCF法のメリットと注意点

[メリット]

数字で判断できる安心感:感覚だけではなく、数字で損得をはっきりさせられます。

長期的な収益が見える:一時的な利回りではなく、トータルでどれだけ利益を出せるかを把握できます。

リスクも見える化できる:割引率を変えて、楽観的・悲観的なシナリオも検討可能です。

 

[注意点]

未来の予測はあくまで予測:空室率、修繕費、金利などは将来的に変わる可能性があります。

割引率の設定に悩むことも :何%で割り引くかによって結果が大きく変わるので、自分の期待利回りや市場動向を参考に慎重に設定する必要があります。

正確にやるには手間がかかる:毎年のキャッシュフロー予測やExcel入力は、多少時間と労力が必要です。

税金の影響も忘れずに

大切なのは「キャッシュフローは税引き後で見るべき」ということです。なぜかというと、いくら手元に残るか?を考えたとき、税金を無視しては本当の数字が見えてこないからです。

 

たとえば、法人で投資しているなら法人税の影響、個人であれば所得税や住民税、それに加えて消費税の扱いも関係してきます。物件を売却する際には譲渡所得税のことも頭に入れておく必要があります。

 

つまり、DCF法を使うなら「税金を加味したキャッシュフロー」が前提になる、ということです。

 

以上のように、将来の収益を今の価値に換算して判断する、これがDCF法の基本的な考え方です。不動産投資では、見た目の利回りや表面的な金額だけでは本当の価値が見えないことも多いもの。そんなときこそ、DCF法の出番です。

 

「ちょっと難しそう…」と感じた方も、実際に手を動かしてシミュレーションしてみれば、感覚がつかめてくるはずです。できれば税理士や専門家のアドバイスを受けながら、納得できる投資判断をしていきましょう。