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不動産投資は物件購入がゴールではありません。家賃設定の見直しや空室対策、運営コストの削減など、利益の最大化に有効な戦略を絶えず講じていくことが重要です。本記事では、不動産投資家である賃貸物件オーナーが実践すべき具体的な賃貸運営戦略を紹介しながら、利益最大化を実現するための手順を明確にしていきます。

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利益最大化のために押さえておくべき基本戦略

資産運用で得られる利益は「インカムゲイン(Income Gain)」や「キャピタルゲイン(Capital Gain)」などと呼ばれます。これらを不動産投資に当てはめると、インカムゲインは毎月の「家賃収入」であり、所有不動産の「売却益」はキャピタルゲインにあたります。

 

売却益は一度の売買取引で大きな利益を生みますが刹那的なものです。一方、家賃収入は数万円程度と少額であるものの継続的であり、入居年数が長くなれば累計数千万円の莫大な利益となります。長い目で見れば、不動産投資における利益の根幹となるのは家賃収入であるといっても過言ではありません。

 

周辺相場と競合物件の動向を踏まえた適正な家賃設定、家賃滞納や近隣トラブルを起こさない優良な入居者の獲得、そして「長い間住み続けたい」と思わせる賃貸物件のブラッシュアップ、これらの戦略が基軸となり、不動産投資における利益の最大化が推し進められていくのです。

 

適正な家賃設定と競合との差別化が課題に

新築賃貸物件の場合、周辺相場よりやや高めの家賃設定でも入居申込は容易に入ってきます。その理由はいわずもがな、建物も室内設備もすべて最新仕様だからです。しかしそんな人気物件も築10年を迎える頃には、申込どころか問合せさえパッタリと途絶え、恐怖の“空室・利益ゼロ地獄”へと突入していきます。

 

後発の新築物件に入居者を簒奪され、古い物件同士の攻防戦にのみ込まれ、疲れ果てて行き着く先は「家賃の値下げ」です。まずは直近の周辺家賃を調べ、築年数・間取りに見合った平均的な家賃を算出します。その金額が値下げの限界値を上回っていればよいのですが、下回っている場合は何かしら別の手を打たなければなりません。並み居る競合物件のなかから一歩先んじるためには、どのような手段を取ればよいのでしょうか。

 

空室リスクを減らすための対策と手法

ひとつは建物や室内設備の修繕工事です。新築当時はトレンドだったインテリアデザインや水回り機能も、10年経てば時代遅れになっています。最近はどのような物件が人気なのか、不動産ポータルサイトをのぞけば一目瞭然です。インテリアや設備・機能ばかりでなく、「無料インターネット」や「宅配ボックス」といった付加サービスへの要望が高まっていることもわかります。

 

もうひとつは賃貸物件の管理体制です。実のところ、入居希望者はオーナー自ら管理する物件によい印象を持っていません。日頃オーナーと顔を合わせる機会が多く、逆にトラブルの際はなかなか連絡が付かないなど、日常生活に支障をきたすことも少なくないからです。そのため、不動産管理会社によるサポート体制が万全な物件を選ぶ傾向にあります。

 

この他、「礼金・敷金なし」や「フリーレント(期間限定家賃無料)」をアピールすることも効果的ですが、契約期間中の累計コスト管理もしっかり行わないと赤字経営になってしまいます。修繕工事費用、管理委託費用、入居者募集のための広告費や仲介手数料など、各種経費が利益を上回らないよう、コスト削減に努めることが大切です。

 

リフォームとリノベーションを活用した利益アップ術

前述した「建物や室内設備の修繕工事」について、もう少し詳しく説明します。賃貸経営において、入居者満足度を高めるための修繕工事(リフォーム・リノベーション)は必要不可欠。これらの工事が実施可能なタイミングは意外と少なく、もっとも効率的に行えるのは空室時です。突発的な設備の不具合や改修工事を除き、入居者が生活中の室内で工事を行うのは困難を極めるからです。

 

もっとも一般的なのは「原状回復工事」です。これは入居者が退去するたびに、壁や床の一部など必要最小限の改修を行う簡易的なリフォーム工事になります。次に、物件の”時代遅れ感”を解消するための「フルリフォーム工事」です。この工事ではエアコン、給湯器や水回り設備の新機種交換や、壁・床材の全面張替等を行い、まるで新築のような住空間を再現します。そして、より新築に近い状態に近づけていくのが「フルリノベーション工事」。これは室内をスケルトン(構造躯体)状態まで解体し、床下配管の入れ替えや間取り変更まで行う大掛かりなものです。

 

原状回復工事は最短で2年に1度、フルリフォーム工事は概ね10年に1度を目安に予算を確保しておくとよいでしょう。フルリノベーション工事については、物件が建つエリアの賃貸ニーズの変化(単身者よりファミリー層の人口が増えてきた、またはその逆など)が顕著になったタイミングに必要性が高まります。これらの修繕工事を意欲的に行うことで、空室回避は当然のことながら、家賃アップも目指すこともできます。

 

運営コストと利益の関係性

賃貸経営上、物件の修繕工事費用や不動産管理会社に支払う管理委託費などの運営コストはできる限り削減したいものです。しかし経費節約が過ぎると、入居者満足度や物件自体の魅力低下も招きかねません。

 

賃貸経営におけるランニングコストの目安は家賃の2~3割程度といわれます。たとえば月額10万円の家賃収入であれば、そのうち2~3万円を毎月の管理委託費や将来のリフォーム・リノベーションに投入できるということです。運営コストと利益のベストバランスを見極めながら半永久的に収益を生み続けてくれる賃貸物件を育てていくことがオーナーのミッションになります。