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40代は、住宅ローンの支払いと資産形成を両立させる重要な時期。しかし、住宅ローンを優先しすぎて貯蓄や投資に回せなかったり、ローン返済の負担が大きくなりすぎたりすると、老後資金不足に陥ることも。不動産投資を活用することで、ローンを抱えながらも資産形成を進める戦略について解説します。
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住宅ローンを払いながら資産形成…意外と厳しい現実とは?
念願のマイホームを購入し、家族と楽しい毎日を送っている方は多いでしょう。住宅購入は、安定した生活の場を得るという大きなメリットがあります。多くの場合、住宅ローンの支払者は団体信用生命保険に加入しますので、万一のことが発生したときでも、保障の効果により、住宅ローンの支払いに困ることはありません。
一方で、住宅ローンを払いながらの資産形成は、理想と現実のギャップに戸惑うことが少なくありません。一般的に、住宅ローンの返済は25年、30年、それ以上などと長期間になります。毎月の住宅ローン返済額は固定費として大きな割合を占めます。さらに、変動金利を選択している場合は、金利上昇リスクに備えておく必要があります。
そのうえ、住宅ローンの返済期間と同時期に、お子さんの教育費や夫婦の老後資金など、複数のライフイベントに必要な資金を準備しなければなりません。
三井住友信託銀行の調査(2020年6月)によると、住宅ローンを保有している世帯の8割が、資産形成に向けた何らかの取り組みを行っています。年間資産形成額の分布を見ると、5割の世帯で50万円未満、そのうちの1割は取り組みを行ったが、引き出すなどして差し引きゼロ。200万円以上資産形成が進んだ世帯は1割ほどであったということです。
「住宅ローン返済を最優先」その判断が老後資金不足につながる理由
「住宅ローン返済を最優先」という考え方は、一見正しいと感じられます。住宅ローン返済は、多くの場合、前述のように長期間になります。長期間になれば、利息の総負担額が大きくなりますし、完済時の年齢が60代以降など定年後になる場合もあるでしょう。
しかし、ここで注意が必要です。「まずは早めに返済を終わらせてしまいたい」と返済に集中することは、毎月の貯蓄額を減らすことにつながり、「老後はまだ先だから」と資金準備が後回しになる可能性があるからです。
住宅ローン返済期間中には、予測してなかったケガや病気の治療費用、子どもの教育費が想定以上に必要になる、など済額以外にも資金需要が発生する可能性を考えておかなければなりません。さらに、インフレによる物価上昇の影響で、老後資金をより多く準備しなければならないかもしれません。
住宅ローンは重要な借り入れです。返済は必ず行わなければなりません。しかし、そのために「最優先」と考えるよりも、老後資金準備や他の資金計画などとうまくバランスをとりながら返済計画と貯蓄計画を立てることが、賢明な判断と言えるのではないでしょうか。
長期的な視点で資産形成を行うことは、将来の経済的な安心へとつながります。少額であったとしても、住宅ローンと並行して老後資金準備を始めましょう。
繰上返済か、それとも投資か…40代が取るべき最適な戦略とは
一般的に40代は、住宅ローンの返済、子どもの教育費準備、将来の老後資金の準備など、多くのお金の課題に目を向けざるを得ない時期です。少しずつ住宅ローン金利が上がってきています。手元にある余裕資金を「繰上返済」に充てるべきか、「投資を含めた資産形成」に充てるべきかは、重要な決断となります。
繰上返済のメリットは、総支払利息額を軽減できることです。繰上返済の方法には、「期間短縮型」と、返済期間を変えない「返済額軽減型」の2種類がありますが、金利負担軽減効果は「期間短縮型」の方が高くなります。
デメリットとしては、繰上返済に資金を入れてしまうと、その資金は引き出すことはできない点です。「現金が必要だった」とならないように確認しておきましょう。
投資は投資期間が長いほど、複利効果を大きく得られます。適切な分散投資を行うと、老後資金の準備を早めに進めることができる可能性があります。NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を活用すれば、さらに効率的な資産形成が期待できます。投資期間が長期間になれば、元本割れのリスクは低くなります。
大切なのは、どちらか一方に偏らず、個々の状況に合わせてバランスの取れた戦略を検討することです。
住宅ローンと並行して不動産投資を活用し資産形成を進める方法と注意点
住宅ローンを返済しながら不動産投資を行うことは、資産形成を進める有効な手段の1つとなる可能性があります。
マイホームと投資用不動産を所有する場合は、多くの場合は、両方ともローンを組むことになります。自己資金と住宅ローンの返済状況を確認し、無理のない範囲で融資を受けましょう。ただし、住宅ローンと投資用不動産ローンの借入可能額は、お互いに影響を受けることになります。
購入する順番は、①不動産投資ローン、②住宅ローン、の順番がよいとされています。
・不動産投資ローンの融資審査は、住宅ローンの場合より高い傾向がある
・住宅ローンの残債額は、不動産投資ローンの融資額から引かれる
・不動産投資の賃貸収入額も収入とみなされ、審査に有利となる可能性がある
などがその理由として挙げられています。
投資用不動産の家賃収入があれば、その一部を投資用ローンや住宅ローンの返済に充てることが可能です。家賃収入で得られた資金をマイホーム購入資金に充てて、借入額を減らすこともできます。そのぶん、老後資金準備の資産形成が進められると考えられます。
投資用不動産には、空室になって収入が得られない、不動産の価値が下落する、自然災害が発生する、修繕費などの維持費がかかる、現金が必要なときでもすぐに売却して現金化できない、金利が上昇する可能性がある、などのいくつかの注意点があり、賃貸経営が予定通りにいかない可能性もあります。
信頼できる不動産業者や専門家の意見も参考にしながら、自身の目的や資産状況にあった返済計画をしっかりと立てることが大切です。バランスの取れた資産形成戦略を構築し、将来に備えていきましょう。
<執筆者>
藤原 洋子
FP dream 代表FP
大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。