目次

不動産投資の最大の利益は、物件を手放すとき、すなわち売却時に確定します。ベストなタイミングでより高値で売却することができれば、その不動産投資は「成功した」といえるでしょう。では、投資用不動産の売りどきはいつなのか? どうしたら高く売ることができるのか? オーナーが知っておくべき不動産売却の秘訣について解説します。

ハウスリンクホームのLINE公式アカウントでは高利回り物件情報や資産形成のお役立ち情報を配信中です。
LINE友だち登録はこちら

投資用不動産「売却の流れ」

長い間高収益を維持してきた投資用不動産も、建物の経年劣化や競合物件の台頭などによって家賃値下げを余儀なくされるときが来ます。そんな兆しが見え始めたら、オーナーは直ちに「出口戦略」を練らなければなりません。出口戦略とは、収益力が低下し赤字に傾きつつある投資用不動産の損切りを行うこと、すなわち売却計画を立てることです。

 

売却するにあたり、まずオーナーが行うべきことは「売買価格相場」の調査です。数多ある不動産ポータルサイトの情報から、エリア・建物規模・築年数が類似する物件をリストアップし、それらの販売価格の平均値(=相場)を算出します。

 

相場がわかったら、それとあまり乖離しないように「売却希望価格」を決めます。たとえば相場価格が8000万円で、売却希望価格を1億円と設定した場合、不動産広告などに載せる「売り出し価格」は売却希望価格に若干上乗せします。

 

<売り出し価格の計算式>

1億円✕1.1倍=1億1000万円

 

次に、売り出しから1~3ヵ月経っても売れなかった場合を想定し、売り渡してもよい「売却最低価格」を決めます。

 

<売却最低価格の計算式>

1億円✕0.9倍=9000万円

 

ベテランの不動産投資家は必ずといっていいほど「指値(値引き交渉)」をしてくるので、指値限度額として売却最低価格を決めておくのです。この売却最低価格は広告などに載せず、指値が入った際の判断基準として用います。要するに、9000万円~1億1000万円の間で売却できれば概ね利益確定できるという“心づもり”です。とはいえ、1億1000万円で売り出している物件。いきなり9000万円の指値は入ってこないと思いますが、1億円ちょうど、または9800万円といった語呂のよい金額での指値は想定されます。その際に「1000~1200万円損した気分だな」と考えるか、または「そもそも相場が8000万円だから儲かったな」と考えるのか、この判断はオーナー次第です。

不動産会社と媒介契約を結ぶ際の注意点

売却希望価格・最低価格の目安がついたら、販売を任せる不動産会社に物件査定を依頼しましょう。昨今はネット上で複数社に一括査定を依頼できるサービスもあるようですが、ここで注意したいのが、相場価格よりかなり高い金額で査定額を出してくる会社です。これは、顧客から販売の媒介契約を取りたいがために仕掛けてくる“罠”と考えてください。こういった会社は数ヵ月後に値引きを提案し、最終的には相場を下回る価格で買取業者に売り渡すような商法で儲けています。こういった会社は避け、常識的な査定額を提示してきた会社を選びたいところです。

 

不動産会社に販売を委託する場合、複数の会社に委託できる「一般媒介契約」か、一社のみに委託する「専任媒介」または「専属専任媒介」のいずれかの契約を結ぶことになります。一般媒介契約の方が多くの購入見込み客を拾えそうに思えます。しかし、レインズ(不動産業者専用の情報交換サービス)への物件情報掲載義務がなく、委託した会社のすべてが両手(売り手・買い手の双方から仲介手数料をもらうこと)を狙うため、「未公開物件」として水面下に置かれ、契約が決まりにくいというデメリットがあります。一方、専任・専属専任媒介契約はレインズへの掲載義務があるため広範囲に顧客を拾えるチャンスがあり、委託された不動産業者側も責任をもって営業を行います。

投資用不動産「売却のタイミング」

次に、投資用不動産を売却するべき2つのベスト・タイミングについて説明します。

 

・「長期譲渡所得」が適用になる購入5年後以降

不動産売却の際、その売却益に対して所得税が課されますが、その課税率が物件所有期間5年未満か、5年以上かによって異なります。所有期間5年未満の場合は30%の「短期譲渡所得」が課税され、5年以上の場合は15%の「長期譲渡所得」が課税されます。すなわち、不動産を5年以上所有し続ければ売却時の所得税率が1/2になるということです。そのため、投資用を含むすべての不動産を売却するタイミングは、購入5年後以降がベストであるといえます。

 

・確定申告の「減価償却」期間終了後

高額所得者の多くが不動産投資に取り組む理由の一つとして、不動産購入・賃貸運用に付随した「節税効果」があります。確定申告においては物件取得費のほか、取得後の建物リフォーム費やローン利息なども必要経費に含めることができます。同じ資産運用である株式投資においては、これほどの節税効果は望めません。

 

もっとも大きな経費となる物件取得費は、建物の法定耐用年数が続く限り計上し続けることができます。しかし、中古物件を購入した場合は耐用年数がわずかしか残っていない場合もあります。そのわずかな耐用年数が終了する年度以降が売却のタイミングになります。

投資用不動産「高く売るためのポイント」

これまで投資用不動産の出口戦略について解説してきましたが、ただ相場を調べたりタイミングを計ったりするだけでは希望価格で売り抜けることはできません。売却をスタートする前にある程度の下準備を行い、不動産の資産価値を高めておく必要があります。

 

区分マンションであれば周辺相場相当、またはやや高めの家賃で入居者を入れておくこと。そして一棟アパートなら、区分マンション同様に適正家賃で全室満室にし、さらに余裕があれば外壁等にリフォームを施して建物の印象をよくしておくことです。購入候補者となる多くの不動産投資家にアピールするためには、高い利回りと資産価値を強調することが高額売却の大きなポイントとなります。