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30代も後半。そろそろ老後も見据えて資産形成を始めるタイミング。NISAなど積立投資でコツコツと資産形成を進めるパターンは王道ですが、そこには投資の落とし穴があります。長期的な資産形成を成功させるポイントを見ていきましょう。
老後を見据えた資産形成に最適な「積立投資」
30代になれば、結婚、出産、育児、住宅購入、子どもの教育費、老後の生活費、介護費用などお金の使い方を意識する場面が増えてくるのではないでしょうか。長い人生にはさまざまなライフイベントがあり、その都度一定程度の資金が必要です。
今は会社員で、毎月の安定した収入が見込めるという方でも、受取った給与を使い切ってしまっていたらどうなるでしょうか。まとまったお金が必要なライフイベントの際や、老後の生活を送るための資金が足りなくなるでしょう。家族やご自身の病気やケガ、会社の事情などで生活状況が変化することがあるかもしれません。
資産形成と聞くと、大きな資金を投資してさらに資産を増やすことをイメージする方もいらっしゃるでしょう。しかし、資産形成とは、ゼロから資産を積み上げていく、というケースも含まれます。将来のための資金準備を預貯金や貯蓄性保険、株式や債券などの金融商品を活用し、時間をかけて行っていきます。
30代は、20代の頃より収入が増え業務に対しても慣れてくるので、自分自身や家族のために時間を使えるケースが多くなります。資産形成を取り組み始めるには適した時期と言えるでしょう。
貯蓄をすると、そこから得た利益には原則として20.315%の税金がかかります。利益などに税金がかからない制度として、日本に住んでいる18歳以上の方なら誰でも口座開設できる「NISA」と、原則として20歳以上65歳未満の方が加入できる「iDeCo」などがあります。
これらの制度は、主に株式や投資信託などの金融商品を購入しコツコツ積み立てて資産形成を行うものです。投資のリスクを軽減しやすく投資初心者でも取り組みやすいので、制度を利用して積立投資を行う方が年々増えています。
積立投資とは、一定期間ごとに一定金額で同じ銘柄の金融商品を購入していく投資の方法です。さまざまな投資対象で行うことができます。
積立投資の失敗パターン
投資を始める方の中には、「とりあえずやってみよう」という方もいらっしゃいます。投資初心者がやりがちな積立投資の失敗例をご紹介します。
積立金額をころころ変える
投資をするときには、「安く買って高く売る」と利益を得ることができます。値動きを予想するのは困難ですが、積立投資でも利益を最大化しようと「今が安いだろう」と思い多く買うと、さらに価格が下がって、高い値段で多く買っていたということになります。
積立額が大きく生活苦
現在の収入に対して、積立額を大きく設定しすぎると、思わぬ出費が必要になったときに現金が不足してしまいます。その際は、積み立ててきた資産が仮に値下がりしているときでも売却しなければなりません。
金融商品への知識不足
金融商品には、さまざまな種類があります。中には大きく価格が変動する商品もあります。知らずに購入して、値動きにびっくりしてすぐに売却してしまうことがあります。金融商品の特徴をよく調べて、ご自身の目標や許容できる値動きのもの、性格に合ったものを選びましょう。
積立投資を成功させるコツ
積立投資のメリットを最大限に生かすには、以下の3つのポイントを理解して行うことが大切です。
定期・定額の原則を守る
定期的に一定金額ずつ同じ銘柄を購入する投資方法のことを「ドル・コスト平均法」といいます。ドル・コスト平均法を使うと、価格が安いときには購入する数を多く、価格が高いときは少なくなります。そうすることで積立期間中の購入価格は平準化されますので、投資のタイミングによる価格変動のリスクを軽減することが期待できます。
最適な運用プランを決める
いつ、どのくらいの金額が必要になるのかを検討しましょう。「住宅購入の頭金を作る」など投資期間が比較的短いケースでは、安定的な利益を期待できる金融商品を選ぶとよいでしょう。「老後資金を作る」など投資期間にゆとりがあるケースでは、積極的な運用ができる金融商品を選ぶことも可能です。家計に無理のない金額を設定し、投資目的と運用期間によって、運用プランを決めましょう。
分散投資を心がける
分散投資とは、投資する資産や地域を分散させることで、価格変動リスクを抑えて安定的な利益を得ることが期待できる投資方法です。「自分で決めるのは難しそう」と思う方は、金融機関のサービスを活用することもできますし、投資信託の一種であるバランスファンドを選択すると、簡単に分散投資を行うことができます。
長期的な資産形成における不動産投資という選択肢
不動産投資は、アパート、マンション、戸建て住宅、駐車場など不動産で利益を得る投資の方法です。不動産を購入して賃貸を行い、定期的に収入を得たり、売却して利益を得たりできます。また、相続税対策などの節税のために不動産を購入するケースもあります。
不動産の価値は比較的安定していますので、中長期的な資産・投資方法として人気があります。また、物件の管理は管理会社に任せることが可能です。長期的な視点で行う、家計に無理のない投資金額を決める、分散投資を行う、などといったポイントを押さえた運用を心がけながら、資産形成の方法として検討してみるのはいかがでしょうか。
著者:藤原 洋子
FP dream 代表FP
大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。