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不動産投資をしているサラリーマンであれば、年に1回の確定申告は必須の業務。複雑で難しそう……そんな大家のために、確定申告のポイントを一つひとつ説明していきます。
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確定申告の基本的な流れ
毎年の確定申告では、1月から12月までの1年間の収入と経費を集計して申告します。申告書は書面に記載して提出することもできますが、国税庁の確定申告書作成コーナーというWEBページを利用する方法がお勧めです。確定申告書の提出時期は、翌年の2月16日から3月15日までの1ヵ月間ですので、遅れないように気を付けてください。青色申告か白色申告かなどの状況によっても内容が異なりますが、今回は主に青色申告の場合のポイントを説明していきます。
まず、1年間の収入や経費を種類ごとに分けて集計をします。この種類のことを勘定科目といい、たとえば、賃貸料や礼金、修繕費や借入金利子といったものが勘定科目となります。管理会社から受け取る賃料明細や、銀行から受け取る借入金返済予定表などを参考にしながら集計することになると思います。さらに不動産事業用の現金や預金についても入出金の明細等を作成。これらの資料や帳簿は簡易な帳簿として7年間の保存義務がありますので、大切に保管してください。
なお、不動産賃貸を事業的規模で行っている方で、65万円(または55万円)の青色申告特別控除の適用を受ける方は、簡易な帳簿では適用を受けられませんので、正規の簿記の原則に従って、仕訳帳や総勘定元帳の作成が必要です。その場合は会計システム等を利用することを推奨します。
確定申告に必要な書類のチェック
1年分の収入と経費の集計が終わったら、確定申告書を作成するのですが、他にも必要な書類がいくつかあります。たとえば下記の書類が必要になる人が多いです。
・給与の源泉徴収票
・保険料控除証明書など(年末調整時に提出し忘れたもの)
・医療費の領収書
・寄付金領収書(ふるさと納税など)
源泉徴収票についての注意点は、勤務先で年末調整は行うということです。確定申告をするからといって、年末調整をしなくていいわけではありません。保険料の控除証明書は確定申告時でも使用できるので、勤務先に提出しなくても問題は無いですが、少なくとも扶養控除等申告書と基礎控除申告書は提出するようにしてください。
医療費控除を受ける方は、医療費の領収書や健康保険組合から送られる医療費のお知らせなどを保管して、1年間の医療費を集計する必要があります。集計には国税庁が提供している集計フォームもありますので、必要に応じて活用ください。
また、ふるさと納税を利用されている方は、寄付金領収書も必要です。ワンストップ特例の申請をしていたとしても、確定申告が上書きされてしまいますので、忘れずに寄付金控除の欄に記載してください。
確定申告書等の作成の仕方
今回は冒頭で触れた国税庁の確定申告書作成コーナーを利用する方法をお伝えします。入力方法などの細かいマニュアルは下記サイトに公開されています。
まずは、「決算書・収支内訳書(+所得税)」を選択してもらうと、所得金額の入力画面が出てきますので、不動産所得がある方という欄から収入金額と必要経費を入力してください。このとき、最初に集計した資料を使用することになります。
次に進むと、青色申告特別控除に関する質問に移ります。事業規模ではない場合は、10万円の青色申告特別控除額になるので、そのまま進めてください。なお、事業規模ではない方については、貸借対照表の作成義務は免除されていますので、貸借対照表の作成は省略することが可能。その後、住所や氏名等を入力すると、青色申告決算書は作成完了です。このまま所得税の確定申告書の作成に進みます。
所得税の申告書作成に進むと、「収入金額・所得金額の入力」というページに進みます。ここで、給与所得の欄に源泉徴収票を見ながら入力をしてください。その他にも申告すべき収入がある方は、ここで入力します。次は「所得控除の入力」のページです。年末調整時に提出したものはすでに反映されているはずですので、その他の医療費控除や寄付金控除の欄を必要に応じて記入してください。次に進むと「税額控除・その他の項目の入力」が出てきます。住宅ローン控除を受けている方は入力や確認をしてください。
このまま次に進むと、計算結果が表示されますので、間違いが無いかを再確認してから先に進んでください。最後に少しわかりづらいのですが、「住民税・事業税に関する事項」というボタンがあります。16歳未満の扶養親族がいる方や不動産所得に関する住民税を自分で納付したい方はこのボタンを見落とさないように気を付けてください。
これで確定申告書等の作成は完了。マイナンバーカードを利用して電子送信するか、書面に印刷して税務署に提出すれば確定申告は完了です。今回は確定申告書作成コーナーを利用して作成する方法をご説明いたしました。ここ数年でかなり便利になってきていますので、一度試してみてはいかがでしょうか。
<執筆>
西口 孟志
西口孟志税理士事務所 税理士
1994年1月30日生まれ。京都府出身。 同志社大学経済学部卒業後、日本電気株式会社に入社。 その後、EY税理士法人等の複数の税理士法人にて、個人事業主から上場企業まで幅広く税務会計の支援に従事。 2022年に京都市にて、西口孟志税理士事務所を開業。