目次
資産形成の王道である投資信託や株式投資。しかし、思ったように資産が増えていかない、という悩みを抱える人は多くいます。原因はいろいろとありますが、「損切りのタイミングが悪い」というケースも。損切りの基本的な考えとともに、資産形成のなかに不動産投資を取り入れるメリットを考えていきます。
ハウスリンクホームのLINE公式アカウントでは高利回り物件情報や資産形成のお役立ち情報を配信中です。
【LINE友だち登録はこちら】
なぜ損切りのタイミングが悪いと資産形成はうまくいかないのか
購入した株式等の価格が下がって、損失を抱えてしまうことがあります。そのまま保有し続けても価格の回復が期待できないと考えられる場合には、損失額を確定させるためにその株式等を売却します。そのことを、「損切り」といいます。
ロスカット、ストップロスとも呼ばれます。損切りをすると、それ以上損失額が大きくなることを止めることができます。株価が下がっても、損切りに踏み切れずそのままにしておくことを「塩漬け」といいます。
Aさんは、家族旅行の資金を作ろうと思い、株式投資に挑戦することにしました。ところが、購入したばかりの株式の価格は下がり、損失が発生してしまいました。Aさんは、「損失が確定すると悔しい」という気持ちが強く働き、「すぐに売って損が確定してしまうより、待っていれば買ったときの値段に戻って損はなかったことになるから、このままにしておこう」と考えたそうです。
そのうえ、株価が買ったときより下がったということで、同じ株式をさらに買い増し、購入単価を下げようと「ナンピン(難平)買い」を行いました。ナンピン買いは、株価が上昇に向かっていても一時的に下がった場合には有効になる可能性が高い方法です。
しかし、Aさんの保有する株式の価格はなかなか回復しませんでした。Aさんは、悩みながらも売却できずにやむをえず保有していました。保有している期間に、「これなら」という銘柄を発見しましたが、次の投資に挑戦する資金が不足し、チャンスを逃してしまったそうです。
Aさんはその後いくつかの銘柄を購入しましたが、保有する株式は損失が発生している銘柄が多い状況でした。このままでは資産は増えそうにありません。
損切りはいつ、どのようにすればいい?
Aさんと筆者は、損切りの基本的な考え方と実践の仕方について、具体例を紹介しながら一緒に確認しました。
株取引には、「見切り千両、損切り万両」という格言があります。損失が小さいうちに見切りをつけることには千両の、ある程度の損失は覚悟して売ることには万両の価値があるという意味です。それくらい、株価が下がったときに売却を判断することは重要であり、難しいことであるとされています。
株価が下落している銘柄が上昇するのを待つより、思い切って売却し別の銘柄を買い、損失を取り戻すのも選択肢として考えられます。損切りに、これが正しいという決まった基準はありません。試行錯誤を繰り返すなかで、Aさんに合ったスタイルを確立していきましょう。損切りのタイミングを決める主な考え方は、以下の3つです。
損失額や下落率から損切りのタイミングを決める
損失額や下落率を基準にするという考え方です。銘柄によって価格の変動幅が異なるので、一概に決めるというものではなく、経験を通して妥当な基準を設定していくとよいでしょう。
取引の根拠が崩れたら損切りする
成長性を信じて株価が上昇すると判断して購入したが、業績が振るわない、緩やかに継続して下降している、高配当を期待できなくなった、などのタイミングで売却します。
買いのタイミングの誤りを認める
損失が出た場合に、対象の企業について詳しく知っていて、株価の上昇がかなり確信できるという場合以外には、ナンピン買いを避けて損切りをする方がよいでしょう。
資産形成における短期・中期・長期という視点
資産形成は、人生に必要なお金を準備するために貯蓄や投資を組み合わせて行います。資金の一部を投資に回そうと考えるタイミングで、投資期間を決定するのは重要なことです。自身の投資目的や投資期間に合わせて、代表的な投資商品を大まかに分けてみましょう。
短期投資(1年未満)
値動きが大きく、売買によって利益が得られるものを投資対象にします。代表的な投資商品は、株式やFX(外国為替取引)、オプション取引で、利益確定が早く、多くの投資機会があるのがメリットです。損失を被る可能性が高く、市場から目が離せず精神的な負担が伴うというデメリットがあります。
中期投資(1年~5年)
複利効果を活用して資産形成を期待できるという特徴があります。代表的な投資商品は投資信託、債券、不動産、定期預金です。リスクを低減し安定的なリターンを期待できますが、投資資金が一定期間拘束されるなどのデメリットがあります。
長期投資(5年以上)
代表的な投資商品はインデックスファンド、株式、不動産です。投資期間が長期間になるほどリターンの振れ幅が小さくなり、収益が安定するというメリットがあります。デメリットとしては、投資資金が長期間拘束される、将来の予測が難しいなどがあります。
短期投資、中期投資、長期投資、それぞれにメリットとデメリットがあります。ご自身の目的や、どれくらい損失を受け入れることができるかなどをご検討され、今後の資産形成にお役立てください。
資産形成における不動産投資の優位性
不動産投資は、アパート・マンションなどの収益物件を購入し、入居者を募集して貸し出し収入を得ることや、売却益を得ることを目的とした投資方法です。安定的な収入が期待できます。
不動産投資は、株式投資やFXなどのハイリスク・ハイリターンの投資方法と比べて、ミドルリスク・ミドルリターンの投資方法であるといわれています。
不動産投資のメリットは他にも、
・老後資金の補完に充てられる。
・インフレになると資産価値も上がり、家賃の値上げによる収入の増加が期待できる。
・ 建物の減価償却費、経費を計上できるので節税効果が期待できる。
・土地・建物の相続税評価額は時価と比べて低いことが多いので、相続税を抑えられる可能性がある。
・ 不動産購入時に「団体信用生命保険」に加入すると、契約者に万が一のことがあれば以降のローン返済が免除されるので、遺族は賃貸住宅経営を続けることができる。
などが享受できる可能性があります。
もちろん、不動産投資にもいくつか注意すべき点があります。不動産投資がご自身の資産形成に合っているか、信頼できる不動産事業者の意見を参考にされながら、ご検討なさってはいかかでしょうか。
<執筆者>
藤原 洋子
FP dream 代表FP
大学卒業後、食品メーカーに就職。結婚を機に退職後、専業主婦期間を経て国内大手生命保険会社に転職。営業担当として約12年間、保険商品の販売等を行う。FP資格を活かし、2016年から独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー相談、執筆、勉強会の運営などを行っている。保険の活用と老後を見据えた資金計画、相続について、わかりやすくお伝えしている。