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潤沢な資金が手元にあり「今こそ不動産投資で資産運用を」と考えているものの、第一歩が踏み出せないという人は多いようです。ネット上では「不動産投資は失敗する」といったブログやコラムが散見されますが、実際には不動産投資で財産を増やしFIRE(経済的自立・早期退職)を遂げている人たちはたくさんいるのです。そこで、不動産投資とはどのようなものか、そのメリットとデメリットは、どう始めたら良いかなど、不動産投資初心者に知ってほしい“基本中の基本”を解説します。

 

「不動産投資」で収益を上げる仕組みとは

不動産投資とは、住宅や事務所・店舗などの不動産を所有するオーナーが、それらの物件を不特定多数に貸し出して家賃収入を得るビジネスです。不動産投資を始めるには、まず収益用不動産を取得(=購入)する必要があります。不動産投資上級者が収益用不動産を選ぶときに重要視しているのは「利回り」と「立地」です。利回りは、不動産の購入価格に対する年間家賃収入の割合で算出します。たとえば、家賃8万円の収益用不動産を2000万円で買った場合の利回りは「4.8%」になります。

年間家賃(8万円×12ヶ月)÷購入価格(2000万円)×100=4.8%

利回りが高ければ高いほど収益性が高く、初期投資費用の回収も早いという判断ができます。

次に立地です。単純に考えれば「都心の一等地」がベストですが、都心部の不動産価格は高騰しており、家賃が相場程度なら利回りはかなり低くなります。そのため無理をして都心部を狙う必要はありません。購入価格と家賃収入のバランスが良い、すなわち高利回りであれば地方都市でも良いのです。地方にも商業施設や教育・医療施設などの生活インフラが整った場所はたくさんあり、そこには多くの人が移り住んで来るため賃貸需要も伸びています。

不動産投資のメリットとデメリット

収益用不動産には大きく分けて以下の二種類があります。

・居住用不動産
入居者が住まいとして使用する戸建住宅やマンションなどの賃貸物件。

・事業用不動産
入居者が事業活動を行うために使用する飲食・物販店舗やオフィスなどの賃貸物件。

それぞれの特徴をあげますと、居住用不動産は入居定着率が高いため空室リスクが回避できる半面、水回りを中心とした設備不具合へのクレームに対するこまめな修繕対応が必要です。一方、事業用不動産は入居者負担で設備工事を行うのが一般的なためオーナー側の修繕コストを抑えられますが、入居者の経営状況によっては家賃滞納や早期退去に遭遇するケースも少なくありません。

次に不動産投資全般のメリット・デメリットについて、銀行預金や株式投資など、他の資産運用と比較しながら説明します。

現在の銀行預金の金利は0.02%前後(店頭金利)で、1000万円預けても年2000円の利子しか付きません。株式投資の平均利回りも1.8%(日経平均)程度で、1000万円の投資で年18万円程度の収益です。一方、不動産投資の平均利回りは5~6%(表面利回り)で、購入価格1000万円の物件で年50~60万円の収益が得られる計算になります。

銀行預金は元本が保証されるものの金利(=利回り)が低すぎます。株式投資はやや高い利回りであるものの短期で収益が乱高下するリスクがあります。その点、不動産投資は建物の資産評価が安定していることに加え高利回りのため一石二鳥です。ただし、不動産投資にも「物件管理の手間」や「空室リスク」といった大きな弱点があります。毎月の家賃集金や建物・設備メンテナンスなど手間がかかる上に、入居者が引っ越してしまうと途端に収入がゼロになり、加えて新規入居者募集や原状回復リフォームの費用ものしかかってきます。

不動産投資のリスクを知り、回避する

不動産の資産評価は株価のようにコロコロ変わるものではありませんが、建物・設備の老朽化による評価下落リスクは避けられません。しかし、将来的な建物修繕計画を立てておくことでこれらのリスクは回避できます。建物の屋上・外壁は概ね10~15年単位での修繕工事が理想的です。またエアコンなどの室内家電は10年程度で補修部品の保有期間が終了するので、10年単位で新機種入替を予定しておけばベストです。これらのタイミングを鑑みながら長期資金計画を組んでおけば築浅物件同様の状態が維持できるので、不動産の資産評価が大きく下落する心配はありません。

不動産投資で最も辛いのは「空室」です。所有する賃貸物件が一戸だけの場合、退去されたら収入はゼロになってしまいます。この空室リスクを回避するためには、一戸よりも複数戸を有する一棟マンション・アパートに投資することをお勧めします。不動産投資初心者ならば、総戸数4~6戸程度の新築木造アパート経営から始めれば、資金面・管理面共に大きな負担にならないでしょう。

不動産投資の始め方

これから不動産投資を始める人がまず行うべきことは、自分自身の「ローン借入可能額」の確認です。全額現金で購入可能だとしても、レバレッジ効果(=少額投資で大きな収益)を得るためにローンの活用は必須です。

借入可能額がわかれば、次は収益用不動産のリサーチです。高利回りを得るためにチェックするポイントは「利便性に長けた立地か」「相場相当、またはそれ以上の家賃が取れるか」の2点です。加えて、中古物件であればリフォームが必要な箇所の工事見積、空室であれば入居者募集の手続きもしなければなりません。これらの手間をかけたくなければ、物件周辺にある不動産管理会社に業務委託することも想定しておきましょう。